MLB機構のロブ・マンフレッドコミッショナー(66)が提言した新ルール「ゴールデン・アット・バット」を巡って大紛糾している。
概要は打順に関係なく、1試合に1度だけ任意の打者を打席に送れるというもの。論理的には大谷翔平投手(30=ドジャース)やアーロン・ジャッジ外野手(32=ヤンキース)などの強打者を、ここぞの場面で打席に立たせることが可能だ。もはやオーダーの概念すらぶち壊す奇抜なプランだが、導入の可否も含めて協議段階に入った。
もちろん、実用化されるとしても将来的な話となりそうだが、野球ゲームでも不可能で従来の常識からすれば明らかな〝反則〟。一気に表面化した2日(日本時間3日)から米国のファンをはじめ識者、現役選手までもが猛反発し、3日(同4日)にも「どのチームにも大谷やジャッジがいるわけではない」「不公平だ」「野球をバカにするな」「マンフレッドを解雇しろ」などすさまじい拒絶反応が巻き起こっている。
その一方で、同コミッショナーの発案を擁護する者も出現。米放送局「YESネットワーク」でヤンキースを専門的に実況するマイケル・ケイ氏は自身のポッドキャスト番組で「野球は完璧ではない。だからこそ苦戦しているんだ」と主張した。
米国内でMLBも「4大スポーツ」の一つとして位置づけられるが、市場規模ではアメリカンフットボール(NFL)が圧倒的だ。人気回復と市場の新規開拓を目指して編み出したプランを頭ごなしに批判することに真っ向から疑問を呈した。
その上で「ソーシャルメディアでは、野球を活性化させる方法を考えたロブ・マンフレッドを消すような、野球に対してごう慢で偏狭な人たちを見かける」とバッサリ。「WBCでマイク・トラウトと対戦した大谷翔平のように、野球の偉大な瞬間のいくつかは作為的なものではなく、自然に起こったものだ。しかし、あの瞬間は1週間話題に上がった。あの打席の物語とドラマは注目を集める」と名シーンを演出し、新たなファンを獲得するためにもルール変更を検討すること自体に異論はないとした。
現状は炎上状態となっているが、今後どうなるのか。