4日に今季限りでの引退を表明した元日本代表MF稲本潤一(45=南葛SC)が、同日に都内で行われた会見で最も印象に残った試合として〝サンドニの悲劇〟を挙げた。この悲劇は2001年3月、当時のフリップ・トルシエ監督率いる日本代表が、フランス代表に0―5の惨敗を喫した試合だ。
稲本は「すごくショックだった。当時、僕は海外に行きたくて、代理人をつけて、いろんな人に見に来てもらっていたのに、それを全部なしにするくらいの結果だったし、世界との差をすごく感じた。日本にいてはダメだと再認識した試合。勝った試合より覚えている」と振り返った。
その中で、元フランス代表MFのジネディーヌ・ジダンのプレーに驚かされた。「当時、自分のタイミングでボールを取りにいけば、取れる自信があったのに、ジダンからはまったく取れなかった。その日は雨でピッチがグチャグチャで、日本の選手は全員ポイント式のスパイクを履いていたのに、フランスの選手は固定だった。それも衝撃だったし、ものすごいレベル差を感じた」。
稲本といえば、2002年日韓W杯で1次リーグのベルギー、ロシア戦でそれぞれ1ゴールを決めた。その後も、当時のシーンがテレビで何度も繰り返されてきたこともあり、目にした方も多いだろう。それより惨敗のインパクトが大きかったが、その後のキャリアを形成する原動力にもなっていた。やはり格上との対戦は、強化へ欠かせない要素というわけだ。