華やかな舞台の裏で…。ドジャースのデーブ・ロバーツ監督(52)が、4日に東京都内のホテルで行われた木下グループの新CM発表会に出席した。4年ぶりのワールドシリーズ制覇に貢献した大谷翔平投手(30)ら日本選手の話題も上り、イベントは終始和やかな雰囲気の中で行われた。ただ開始直前には、密約疑惑まで取りざたされる佐々木朗希投手(23)を巡って〝戒厳令〟が敷かれる、異例の厳戒態勢となっていた。
世界の頂点に立った名将が日本に帰ってきた。那覇出身の母と米国軍人の父を持ち、沖縄で生まれ育ったロバーツ監督が来日したのは実に約20年ぶり。プレゼンターから記念の花束を渡されると、「すごーい! ありがとうございます!」と流ちょうな日本語で感謝を述べた。
今回の来日に際し、大谷とはこんなやり取りをしたという。「『東京に着いたら、僕の写真がたくさんあるから楽しみにしていてね』と話してくれた(笑い)。日本に着いてから大谷の写真や広告をいっぱい見たし、どこにでもいるなという印象で素晴らしいなと感じました」。日本中を〝ジャック〟している大谷に驚いた様子だった。
約1時間のイベントでロバーツ監督は笑顔を絶やさず、軽妙なトークを展開。報道陣との質疑応答でも丁寧に受け答えしていたが、そんな雰囲気とは対照的に、開始前にはピリピリムードが漂った。ロバーツ監督が登壇する直前のことだった。
主催者側から「佐々木朗希選手に関する質問に関しては、ロバーツ監督の方から現時点で答えようがないため『時間の無駄』となってしまう可能性が高く、今回はご容赦いただきたいとのことです」と報道陣に向けて通達。日米合わせて約60社のメディアが大集結していたが、日本球界で最も注目を集めている男についての質問はあらかじめ〝シャットアウト〟される格好となった。
ロバーツ監督が神経をとがらせるのも当然かもしれない。ドジャースは米国内で佐々木の移籍先の最有力候補に挙げられただけでなく「密約説」まで浮上。代理人のジョエル・ウルフ氏が「私のことをよく知っているはずの幹部たちが私が何らかの不正な合意にかかわっているとほのめかし、私の誠実さを侮辱している。実際、これはスポーツマンシップにかける行為だ」と激怒し、完全否定する事態にまで発展している。
MLB機構側もかねてささやかれるドジャースの〝タンパリング疑惑〟には神経をとがらせており、米紙「ニューヨーク・ポスト」も「MLBは佐々木と交渉する全球団の状況を注意深く監視しており、違反の可能性があると判断されれば調査に乗り出す構えを見せている」と報じている。
さらに、ロバーツ監督はリップサービスも旺盛。昨オフには、FA市場の目玉だった大谷に関して「彼(大谷)に会って話をしてきた。うまくいったと思うよ。これまで明かしてなかったけど、いずれ分かることだから。ウソはつきたくないしね」と突然、面談した事実を暴露。米メディアが騒然となっただけでなく、特大の波紋を広げてしまった。
今回も持ち前のサービス精神から、佐々木に関する誤解を招く発言をしないとも限らなかっただけに、石橋を叩いて渡った…ということなのか。ドジャースは今季中も球団幹部が視察に訪れており、慎重を期しているようだ。