フィギュアスケート男子で五輪2連覇を果たしたプロスケーター・羽生結弦(30)がアイスショーに込める〝共通の思い〟を明かした。
イタリア紙「コリエレ・デラ・セラ」は羽生のインタビュー記事を掲載。羽生自身も被災した東日本大震災(2011年3月11日発生)を絡めたテーマなどを投げかけ、30歳を迎えた今の胸中に迫っている。
かねて羽生は東日本大震災などの被災者に対して支援を行ってきたことから、インタビュアーは「被災者であるという困難な遺産はどのように生かしているのか」と質問。羽生は「もし震災がなかったら、私の人生は変わっていただろう。私のすべてのプログラムは、直接ではないにせよ、あの体験とリンクしている。その時、私は人々のためにスケートをすることを決めた。希望というコンセプトは、どのプログラムにもある。北京でも滑った『春よ、来い』のようにね。戦争、パンデミック、自然災害など、世界にとって困難な時代に、私のメダルが何かを意味するとすれば、それは希望です。私の勝利は、希望の象徴として世界にささげたい」と語った。
現在は「命」をテーマに「生きる」ことの本質を問う物語「Yuzuru Hanyu ICE STORY 3rd “Echoes of Life”TOUR」の埼玉公演が開催中。「私は生命倫理を学んだことがあり、生と死についてよく考えます。私たちにできることはただ1つ。何が待っているかわからないこの世界で毎日を生き抜くこと、1秒1秒、1日1日を大切に生きること。今を生きている、今を全うしている、そんな思いが全力で滑る私のスケートから伝わればうれしい。3・11の後、たくさんの人に支えられた。その恩返しのために、微力ながらベストを尽くすしかない。多くの人がまだ苦しんでいる。彼らが忘れ去られないようにすることが、私に常につきまとっている思いです」と口にした。
常に〝共通の思い〟を背負ってリンクに立つ羽生。これからもスケートを通して世の中に発信を続けていく構えだ。