プロ野球の現役ドラフトが9日に行われた。各球団の思惑が交差する中、ソフトバンクからは吉田賢吾捕手(23)が日本ハムへ移籍し、DeNAに所属していた上茶谷大河投手(28)が加入することとなった。
吉田は桐蔭横浜大から2022年にドラフト6位で入団。2年目を迎えた今季は指名打者や代打で10試合に出場し、プロ初安打も放った。さらに二軍でも打率3割3厘を記録。ルーキーイヤーから2年連続で3割を超えるなど、ファームでは持ち前の打棒を発揮した。
ネット上では期待の若手の流出について驚きの声が目立った。球団としての意図はどこにあるのか。永井編成育成本部長兼スカウト部長は次のように話した。
「彼のホークスでの出場機会となった時に、少しタイプの似た選手が多い。今年も打撃を生かして捕手以外で出場することも多かった。一塁手だと、山川君、石塚君も頑張っていますし、井上君もいる。タイプがかぶってしまうところがあった」
捕手登録ではありながら、打撃を生かすために一塁や指名打者で活路を求めた吉田。しかし、ホークスの一塁には絶対的な主砲の山川がいる。その次世代を担う層にも、今夏支配下登録を果たしたパンチ力のある石塚、20年のドラフト1位で将来チームの顔になることが期待される井上などが虎視眈々と出場機会をうかがっている。戦力層の厚いチーム事情があるからこそ、本人の将来を思慮した末の判断だった。
吉田は「すごいチャンス。自分次第だと思うので、新たな場所で、新たな生き方を見つけたい」と突然の移籍に驚きながらも、そう語った。3年目を迎える来季、北海道でどのような姿を見せてくれるだろうか。