自民、公明、国民民主党の3党が11日、年収103万円の壁撤廃、ガソリンの暫定税率廃止で合意した。国民の玉木雄一郎氏は「ゾンビ税制を倒しかかっている」と満額回答に自画自賛も、ぬか喜びになりかねない。
3党の幹事長会談で「103万円の壁は国民民主党の主張する178万円を目指して、来年から引き上げる」「ガソリンの暫定税率は廃止する」の2項目で合意文書が交わされた。
国民の榛葉賀津也幹事長は「具体的かつ現実的な交渉に入るので、方向性がはっきりするし、進展する」と合意と引き換えに12日採決の補正予算案に賛成する。
とはいえ、「178万円を目指して」という表現や暫定税率廃止の時期については明記がなかった。自民党の森山裕幹事長は「各項目の具体的な実施方法については引き続き関係者の間で協議を進めていただく。(178万円までの引き上げは)来年一発でというのは無理がございます」とあくまで段階的引き上げになるとの見通しを示した。
永田町関係者は「財源の議論も進んでいないままで、予算を通すためによくある空手形にならなければいいが」と指摘する。
思い起こされるのは昨年の維新の迷走だ。政治資金規正法改正で岸田文雄首相と維新の馬場伸幸代表が旧文通費の使途公開などでトップ合意したが、期日が明言されていない抜け道があり、維新は衆院で賛成していたものの参院では反対に回るチグハグな動きを見せ、批判される事態に。維新は党勢低下し、衆院選では議席を落とす結果にもなった。
少数与党の自民党は国民民主党と折り合いをつけなければ、本丸である来年度予算案が通らずに政権が立ち行かなくなる厳しい情勢にあることに変わりない。「今は国民民主党をおだてるしかないが、百戦錬磨で老獪な自民党ですから、103万円の引き上げも国民民主党ではなく自分たちの手柄にすり替えるのもたやすい。政局次第でどうにでもなる」(前同)
玉木氏は自身のユーチューブで緊急ライブし、「手取りが増えて、(暫定税率廃止による物流コストの引き下げで)生活コストが引き下がる。これしかないっすよ。まだ油断できないので大きく喜びませんが」と言いながらも笑みがこぼれる。
不倫スキャンダルで役職停止中の身とあって、3党協議の場に参加できない。「天下の自民党さんが約束を反故にするとは思えないが、皆さんの後押しが必要」と呼びかけた。