ニューヨーク州弁護士の山口真由氏が14日、読売テレビ「あさパラS」に出演。「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家を殺害した罪に問われた元妻の須藤早貴被告に無罪判決が言い渡されたニュースにコメントした。
山口氏は判決の感想を求められ「私は今まで(同じ和歌山の)カレー事件も含めて、世論で『この人悪い人だ』と言って、起訴したら絶対有罪だろと(なっていた)。だから『検察が司法を決めている』と言われてたんですよ。無罪って検察にとってものすごい大きい傷になるんですよ」と指摘。
続けて「これだけ注目されたので、和歌山地検が威信をかけてやって、これが裁判員裁判で無罪になったというのは、私は法律家としては『すごいな』と」と素直な感想を述べた。
その上で「いろんな可能性がありますよ。でも、世論で人を法廷に立たせてはいけないんですよ。あれだけワイドショーが『この人悪い人です』と言っていたのに、裁判員が、いろんな可能性があって『それを排除できませんよね』という決断をしたというのは、ある種の司法の正義と言えるのではないかと思いましたけどね」と評価した。
また、判決のポイントとなった覚醒剤の密売人の証言について、「『覚醒剤を売った』と言った売人は罪に問われないのか?」と聞かれた山口氏は「問われない可能性高いと思いますね」と返答。
出廷した密売人2人の証言は「本物の覚醒剤だった」「氷砂糖だった」と異なる内容だったが、山口氏は「犯罪って、1円の脱税でも起訴できるように読める。スピード違反1キロでも起訴できる様に読めるんですよ。検察が起訴に値すると思うものを選んで起訴してて、この覚せい剤の立証は絶対必要だったんです」と説明した。
「氷砂糖」という証言が出たことで「検察はむしろそっちの方にムッとしてると思いますし、私が検察だったら覚せい剤の方は暗黙の了解で起訴しませんと。氷砂糖の方は『覚えとけよ』と。『お前は叩けばほこり出ないわけじゃないだろ』と思うと思う」とその心情を代弁した。
さらに「氷砂糖」と証言した売人も当初は「覚せい剤」と言っていたのではないか?と推測し「それ(証言)を裏返したわけですよね。そこの方が、検察としては心証悪いと思います。だけど、覚せい剤の方はこのまま世論が動かなければ、起訴しないと思いますね」と解説した。