鬼門突破へ本腰だ。2年ぶりにBクラスに転落した広島が、難敵撃破に向けた態勢づくりを進めている。
球団側がメスを入れるのは、シーズン中にライバル球団を徹底的に分析し〝丸裸〟にするスコアラー陣だ。カープでは担当球団を持つ4人の先乗りスコアラーが、自チームと対決する1カード、または2カード前に対戦相手の試合に赴いて分析に当たる。
その中で重点的にマークすることになったのが、今季最下位に沈んだ中日だという。年間成績では広島が68勝70敗5分けで、中日の60勝75敗8分けを上回る。しかし、直接対決では8勝16敗1分けと大の苦手としているためだ。そのため、来季から井上監督率いる新体制となった中日に対しては「複数担当制」とし、より多角的に分析できるように配置換えを断行した。
近年はこの「007持ち回り制」で苦手球団を打ち破ってきた〝実績〟もある。2022年に12勝13敗と負け越した巨人へのチェック体制を切り替え、翌23年は17勝8敗。23年に9勝15敗1分けだった阪神にも同様の見直しを行い、今季は12勝12敗1分けと一定の成果を挙げた。それだけに次は中日を…となった模様だ。
特に今季は敵地バンテリンドームで3勝9敗1分けと、完膚なきまでに叩きのめされた。しかも同球場への〝アレルギー〟は今季に限った話ではなく、22年から3年連続で負け越している現実もある。
相手が3年連続の最下位とはいえ、巻き返しを図る新井鯉にとっては乗り越えなければならない鬼門中の鬼門。まずは先遣部隊の運用から練り直し、苦手意識の払拭へ布石を打っていく。