【宮崎祐樹連載 オリのゴリBsを知り過ぎた男(32)】僕の現役終盤、ものすごい才能との出会いを経験しています。今では誰もが知る存在です。元オリックス、現在はロサンゼルス・ドジャースで活躍する山本由伸投手です。
岡山県出身ですが、高校は宮崎県の都城に野球留学。2016年ドラフト4位でオリックスに入団してきました。1年目の17年から一軍を経験しプロ初勝利も記録。2年目の18年はNPB史上初の10代でのシーズン30ホールドポイントを達成するなど大ブレークしました。
全てリリーフで54試合に登板。4勝2敗、32ホールド、1セーブ、防御率2・89という成績は高卒2年目としては破格の数字ですよね。この6年後にはメジャーリーガーになっているわけですからね。ポテンシャルからすれば、何ら不思議ではないことを過去の数字が証明しています。
僕が引退することになる19年、由伸は本人の希望もあり先発に転向しました。オリックスのチーム事情としては、前年オフに金子千尋さんが日本ハムに移籍、西勇輝さんが阪神にFA加入したという背景もありました。
チームとしては、ローテの中心として一時代を築いてきた先輩右腕2枚が抜けた穴は大きかったはずです。ただ、球団はそれすらも想定していて、由伸が投手陣の軸になっていくチーム編成を描いていたのかもしれません。その2年後となる21年から、オリックスが3連覇したことは由伸の活躍をなくしては語れませんからね。
19年の由伸は故障がありながら規定投球回もクリア。先発だけで20試合に登板して8勝6敗。1・95で初タイトルとなる最優秀防御率を獲得しました。この数字で8勝にとどまったのは、登板時の援護率が2・36と低調だったことが原因でした。
そんな上り調子の由伸が、僕の引退に際してSNSで発信してくれたことがあります。インスタグラムで「昨日は宮崎さんと食事しました 来シーズンは一緒に野球できないのが寂しいです。宮崎さんはバリバリの野手だけど投球フォームの事いろいろ教えてもらったり相手バッターの抑え方やバッターの癖などとにかくいろいろ教えてもらっていました」と記してくれていました。
ファンの方々からもさまざまなリアクションがあり、当時から由伸の人気のほどがうかがえます。
それにしても僕、野手なのにワールドシリーズで白星を挙げた超一流のメジャー右腕にアドバイスしちゃってますね。インターネットは怖いですね。これがデジタルタトゥーってものでしょうか。年齢としては一回りも違うかわいい後輩ですが、本当にすごい存在になってしまいました。
インスタにアップされた写真では僕に肩を組まれて正座している様子が写っていました。そしてハッシュタグでしっかりオチもつけられていました。
「#宮崎祐樹」
「#福良さんの話し方真似してホテルの内線で電話してくる人」
僕が当時の監督のモノマネをしちゃってることをしっかり暴露されてるじゃないですか! 僕が戦力外通告を受けてしまった後だからまあいいか…。いやいや、福良さんすみませんでした。