世界的人気を誇る英国の人気歌手アデルがブラジルの作曲家から「盗作された」との訴えを起こされ、ブラジルの判事はストリーミングサービスによる配信を含め、全世界での使用を一時的に差し止めるよう命じた。GBニュースが17日に報じた。
問題になっている曲は、2015年に発売されたサードアルバム「25」収録の「ミリオン・イヤーズ・アゴー」。同アルバムは世界中で2330万枚を売り上げる大ベストセラーとなった。
訴えを起こしているのは、ブラジルの作曲家トニーニョ・ジェラエス氏で、同氏はブラジルの歌手マルティーニョ・ダ・ヴィラが1995年に録音、発表した自身のサンバ曲「ムルヘレス」を盗作していると主張しており、著作権侵害だと主張。16万ドル(約2500万円)の精神的損害賠償、さらにアデルの曲の作曲者クレジットに自身の名前を入れるよう求めている。
この差し止め命令は、アデルの所属レコード会社であるソニー・ミュージックエンタテインメントとユニバーサル・ミュージック・ブラジル社を対象としており、両社はこの決定に対して控訴する権利を保持している。
裁判所命令は、あらゆるプラットフォームおよびフォーマットにおいて、この曲を「使用、複製、編集、配布、または商業化」することを即時かつ世界的に停止することを要求している。ソニー・ミュージックエンタテインメントとユニバーサルミュージック・ブラジル社は、差し止め命令に従わなかった場合、1件あたり8000ドル(約123万円)の罰金を科せられる。
弁護士のフレディミオ・トロッタ氏は、この判決を「国際的にヒットした曲を作る際にしばしば模倣されてきたブラジル音楽にとって画期的な出来事だ。ブラジルの音楽を寄生的な利用の可能性を視野に入れている国際的なプロデューサーやアーティストは、今回の決定を受けて考え直すだろう」と語っている。
同曲は15年にも盗作騒ぎが起きており、トルコの音楽ファンたちがこのバラードがクルド人歌手アフメト・カヤの1985年の曲「アチララ・トゥトゥンマク(痛みにすがりついて)」に似ていると主張した。しかし、カヤの未亡人は当時、世界的スターがそのような行為を犯す可能性は低いと述べ、アデルを擁護したため裁判には至らなかった。
ソニー・ミュージックエンタテインメント・ブラジルは、この判決に関して、現時点では声明を出していない。