ボクシングの大橋ジムは18日、横浜市内で会見を開き、WBO世界バンタム級王者・武居由樹(28=大橋)が右肩関節唇損傷で全治4週間と診断され、来年1月14日に予定されていた挑戦者の同級10位ユッタポン・トンディー(31=タイ)との2度目の防衛戦を中止すると発表した。武居の回復を待ち、ユッタポンを相手に来年の4月か5月に開催することを目指すという。
この試合はスーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)のIBF&WBO同級1位サム・グッドマン(オーストラリア)との防衛戦のアンダーカードで、当初は今月24日に予定されていたが、グッドマンの負傷により興行の延期が決まったばかり。会見で同ジムの大橋秀行会長は「責任者として、全部自分の責任」と謝罪し、「グッドマンも武居も試合に勝ちに行くために練習をしてケガにつながった。選手の気持ちも分かる」と理解も求めた。
武居は今月上旬のスパーリングで負傷したものの、出場を目指して調整を継続。だが、今週にドクターストップが出され、それでも「左だけでもやる」と意欲を見せていたが、大橋会長と八重樫東トレーナーの判断により中止となった。
八重樫トレーナーは「関節唇の中のじん帯が剥離していて、麻酔を打って強行出場してもよかったが、そこが外れる可能性があった。武居の場合、(右は)前の手なので、試合をつくっていけない」などと説明。手術はせず、保存療法で回復に努めるという。
気になるのは同じキックボクシング出身で武居から呼びかけていたWBA同級2位・那須川天心(帝拳)とのライバル対決。那須川は来秋の世界挑戦計画が浮上しており、そこでの対戦も予想されている。大橋会長は「具体的な計画はない」と強調しつつ、「注目されるからこそ、今回中止にした。無理に出たらいい試合できなかっただろうし」との考えを示した。武居自身は「今はけがを治すこと、復帰することしか考えていない。(天心戦は)言う資格も今はないのかなと思います」と、うつむきながら話した。
もし武居の復帰が遅れれば、天心戦がすれ違いに終わることも考えられる。万全の状態に戻ってV2を果たし、再びラブコールを送ることはできるか。