前触れなく昨年閉館した大阪の老舗男性専用サウナ跡地に、マンションが建つことが分かった。
昨年3月末に突然「正午をもちまして、閉店することに」とポスターが張り出され営業終了したのは、大阪キタで約30年の歴史をもつ男性専用サウナ・ホテル「北欧館」。ミナミの姉妹店も閉業した。
周辺には飲み屋が多く、終電を逃した酔客らにはありがたい場所だった。常連客は「閉館後は〝北欧館難民〟が続出しました」と振り返る。
「広い館内は手入れが行き届き、北欧館にはオーナーの趣味なのか、ルイ・ヴィトンの年代物のスーツケースやエミール・ガレのランプといった骨董品、有名画家の絵画などが飾られてました」
翌4月には営業再開を望む地元有志が立ち上がり、閉業の経緯も判明したという。「オーナーの他界後、2店舗を切り盛りしていたマネジャーが病気で引退。それを機に、オーナーの親族が事業の清算を決めたそうです」
有志は資金を出し合い運営会社を設立、既存の建物と設備を生かし貸してもらう形での再開を目指した。思い出話を手紙で集めて送り、親族の心情に訴えたりもした。だが結局、オーナー親族の了承は得られなかった。「亡くなったオーナーは、同業の人には引き継がせないという遺志を遺言に残していたと聞きました」
北欧館は旧館と新館を合わせ、延べ床面積3300平方メートル。予定より遅れて今年に入り建物の本格的な解体が始まった。工期終了は大幅に遅れ、最近ようやくさら地に。そして今月半ば、近隣住民に共同住宅新築工事が告知された。
それによると、北欧館跡地には11階建て賃貸マンション(全56戸)を建設。1階は駐輪場、バイク置き場、駐車場で、一部はカーシェアとタイムパーキング。電動キックボードシェアのスペースも確保される予定だ。2~10階は各6戸で、2戸だけのペントハウスにはコワーキングスペースとテラスが設けられる。