落語家の桂米紫が18日、大阪・サンケイホールブリーゼで行われた「桂米紫独演会」(2025年2月11日)の取材会に出席した。
米紫は今年2月、30周年記念として初めて同劇場で独演会を行った。1回きりの「ご祝儀」だと思っていたが、来年もやることができると満面の笑みで語り、「米朝一門にとってはあこがれの会場です。一生に一度やと思って全力を出し切ってしまったが、今年を上回る公演にしたい」と意気込んだ。
どうしようもない人たちが出てくる落語を三席も披露するという。最初の演目「みかんや」は入門して1年以内に習う前座噺で、故桂ざこばさんがやっていた落語だと説明。「ざこば一門のネタみたいな感じもあるんです。前座噺、たくさん教わりましたけど、『みかんや』が一番好きなんです。仕事してないどうしようもない人が、一生懸命みかんを売りに行く」と明かした。
中入り前に行う「蛸芝居」について、芝居噺を得意とする吉朝一門を引き合いに出し説明した上で「ざこば一門が芝居噺ってイメージないと思いますけど、私自身は芝居噺が好きなので、吉朝一門じゃなくてもこんなネタやるぞ!」と言い、笑わせた。
ざこばさんが好んでやっていたという「らくだ」について「すごい噺だと思うんです。最後に全員が酔っぱらいになっている。聞き終わったら僕は、勇気をもらえて元気になるネタです」と語った。
生前、ざこばさんは弟子も孫弟子も「兄ちゃん」と呼んでいた。その理由は、ざこばさんのお子さんのためだった。兄弟子に聞いた話だと前置きし、「ざこば師匠が弟子を呼び捨てで呼んだり『おい』とか呼ぶと、師匠の家の子どもさんが小さい時に、それをマネして、勘違いしてしまう。だからざこば師匠は弟子のことを『兄ちゃん』と呼んでおりました」と振り返っていた。