成功のカギは――。ソフトバンクは18日にレッドソックス傘下3AウースターからFAとなっていた上沢直之投手(30)の獲得を正式発表。リーグ連覇を目指す鷹が狙い撃ちでNPB通算70勝右腕を戦力に加えた。
3年以上総額7億円超の大型契約で背番号は「10」。交渉に当たった三笠GMは「われわれも過去にたくさん苦しめられた。先発補強が今オフのテーマだったので、彼のような実績のある素晴らしい投手を獲得できて大変うれしい」と素直に喜び「(フロントとして)一つ大きな結果、成果を出せたと思っている」と胸を張った。
かつて日本ハムでエースに君臨した右腕だけに実力は申し分ない。昨オフにポスティングシステムを利用して念願の米挑戦。レイズとマイナー契約を交わし、開幕前に移籍したレッドソックスでメジャー昇格を果たした。登板は救援でわずか2試合にとどまり、9月に右ヒジを痛めて無念の帰国。熟考の末に再度の米挑戦をあきらめ、日本球界復帰を決断していた。
晴れて「鷹の上沢」誕生となったが、気になるのは負傷した右ヒジの状態だ。3年以上の大型契約とあって、現場レベルでは「無理は禁物」との指摘が出ている。さらに「加入1年目の有原がそうだったように、万全を期して焦らず気負わずシーズン途中から稼働するくらいが望ましい」との声もある。
2023年に加入した有原は右肩の手術歴があり、2年ぶりの国内復帰とあって春先から状態が上がらず開幕は二軍スタート。それでも6月の交流戦から一軍昇格を果たすと、17試合の登板で10勝を挙げた。
9月中旬に帰国した上沢は国内でリハビリ調整を続けてきた。この日、三笠GMは「ヒジの疲労骨折があったが、状態は良くなってきていて来年の投球に特に支障はないと判断している」と強調した。条件面でソフトバンクに及ばなかったが、古巣・日本ハムは編成担当者を渡米させ、長期にわたって右ヒジの状態を慎重にチェックして獲得オファーを出した。それだけに、チーム内外で気にかける声が多いのが実情だ。
実績ある上沢を誠意ある大型契約で招き入れたソフトバンク。スロースタートでもきっちり取り返した有原のように、上沢も気負いと焦りは禁物かもしれない。
=金額は推定=