10月に桐生で今年4回目の優出を果たすと、そこから蒲郡、徳山と連続優出。その後も毎節予選を通過と近況のリズムは上々だ。「新しいペラのゲージを仕入れてから調子がいい。仕入れたのは確か夏場だったと思うけど、寒くなってからそのゲージがよく合ってくれている。最近成績がいいのは、本当にゲージが一番の理由」と明かすように新たな調整の引き出しが好調の要因だ。
「もともと僕は伸び寄りの調整の方が多かった。けど、最近は伸びだけじゃなくてもどこかしらに特徴をつけられている。毎節、だいたい足はきてくれるようになったかな」。25年目のベテランが、さらに進化を遂げている。
10月31日までが審査期間だった2025年前期適用勝率は6・54。14期連続でのA1級をキープした。「前期は久しぶりにF2をしてしまった。それでも、A1をしっかりキープできたことはよかったと思う」と、苦しい時期を乗り越えての最高ランクキープには胸をなで下ろす。
11月1日からは2025年後期適用の級別審査期間も始まった。「もちろんA1キープは目標。あとは勝率7点を取りたい。ずっと7点に届かないのが引っかかっている。7点を取ってこそ、自分で成長したと思えるんじゃないかな。来年には45歳になる。もういい年になるし、ベテランらしく走ってもっと点数を稼げたら…」。キャリアハイの勝率は2019年前期の6・99。あと0・01の壁を打ち破れば、また新しい世界が見えるかもしれない。
2023年7月の尼崎以来優勝はない。「優勝の肝になっているのはスタート。控えている部分もあるし、全体的に遅めのスタートが多いから。あとはエンジンが出ている時に、予選をトップ通過できなくて2位、3位での通過になったりとか。もったいないことをしているのもある。やっぱり優勝したいよ」とV達成への思いを募らせる。「特に蒲郡は優勝したい」。地元ではより一層、その思いは強くなる。
家族の存在も原動力だ。「来年には子供の大学受験が控えている。そのあと一人暮らしもするかもしれないし、家のローンもまだ残っている。今後の予算とか金銭的な部分でも頑張らないと」。一家の大黒柱としての覚悟を胸に奮闘している。
「これからもお客さんの舟券に貢献し続けたい。『永井はヒモじゃなくてアタマだ』って、言ってもらえるように…。僕をアタマで買ってもらえるように、これからも頑張りたい」。勝率7点、優勝、家族、ファン…。さまざまな思いを胸に走り続ける。
ながい・みなもと 1980年3月16日生まれ。愛知支部の86期生。福岡県出身。2000年5月に若松でデビューすると7月の芦屋で初勝利。2002年9月の大村で初V。通算29V。同期は萩原秀人、柳沢一、吉田俊彦、市橋卓士、中野次郎、森永淳ら。