現役ドラフトで巨人から阪神に移籍した畠世周投手(30)が、19日に兵庫・西宮市内の球団事務所で入団会見に臨み「まさか人気球団の阪神に指名していただけるとは思わなかった。自分はフライピッチャーなので広い球場と、甲子園に吹く風を味方にした投球をしたい」と抱負を語った。
最速156キロをマークしたこともある剛腕だが、昨季の一軍出場はわずか1試合にとどまった。新天地での巻き返しを期す畠は黄色と黒の〝猛虎カラー〟ネクタイを締め「読売ジャイアンツさんを倒さなければ優勝はない。いい準備をして春のキャンプを迎えたい」と誓った。
会見に同席した嶌村球団本部長は「いい選手がたくさんいる中で、真っ先に『畠が欲しい』と藤川監督とも見解が一致した」と明かす。現役ドラフトの内容は非公開となっているが、このコメントからも今回の現役ドラフトで阪神からDeNAに移籍した浜地が他球団から〝人気を集めていた〟ことがうかがえる。
畠や浜地の他にも、3度目となった今回の現役ドラフトでは上茶谷(DeNA→ソフトバンク)、平沢(ロッテ→西武)、矢崎(広島→ヤクルト)などネームバリューもある選手が続々と新天地へ旅立った。大竹(ソフトバンク→阪神)、水谷(ソフトバンク→日本ハム)らの成功例がチーム全体の浮き沈みすら左右することが明らかになり「現役ドラフトはいい方向に進んでいると思う」と嶌村本部長は語る。
自軍の補強ポイントに合致した有力選手をゲットするためにも、〝出し惜しみせず〟に他球団が欲しがるような自軍選手をテーブルに乗せる。それがウィン・ウィンの結果をもたらす――。日本球界はMLBなどに比べ、移籍市場の狭さや閉鎖性を指摘されるが「現役ドラフトをやることで、通常のトレードも活性化してくのではないか」との見方を嶌村本部長は示した。現役ドラフトが持つ価値は年々上昇しているといえそうだ。