【宮崎祐樹連載 オリのゴリBsを知り過ぎた男(35)】せっかくスペースをいただいていますので僕が野球界を引退し、保険営業マンに転身した経緯を話させていただこうと思います。
引退に際して僕は、これまでの野球界だけに限定しない何らかの知識や技術などを身につける必要があると考えていました。例えば、オリックスの先輩だった馬原孝浩さんは引退後に柔道整復師、鍼灸師の資格を取得されています。馬原さんはソフトバンク時代の2007年に38セーブを挙げ、最多セーブ投手のタイトルも獲得された名リリーバーです。日本代表がWBCを連覇した06年、09年大会で侍ジャパンに選出されています。
15年オフにオリックスで引退された時には指導者の道も用意されていました。それでも体のケアについてもう一度、一から勉強したいとの一心で指導者や評論家のオファーを辞退し、九州の専門学校で勉強を始めたそうです。
柔道整復師や鍼灸師の資格を取得するためには、文部科学大臣指定の大学や専門学校、都道府県知事指定の柔道整復師養成施設などで3年以上学び、国家試験に合格する必要があります。実際、馬原さんは19年に国家試験に合格されています。そんな話を聞いていて本当にすごいなって思ったんですね。
僕の場合はプロ、アマを含めて野球界に残る選択肢も並行して考えていた時、別の道をという中で複数の保険会社の方々から声を掛けていただいていました。純粋に保険ってどんなもんなんやろうと自分なりにも情報収集していたころでした。
そのタイミングで現職の「アクサ」の話をしっかり聞いてみようかなと思って面談に臨んだ時に、聞かせてもらった内容がすごく理にかなっていたんです。僕が現役時代から知っていれば、しっかりやっておけばよかったやんという気持ちにすごくなったんです。
第一は現役の選手たちにお金の流れとか、仕組みというものを若いうちから話すことができれば、後輩たちのためにもなるんじゃないかと思ったわけです。
でも、僕が現役時代のことを考えると、寮やロッカーに保険会社の方が訪問されていると聞いても、ちょっと嫌だなという気持ちにしかならなかったんですよ。何となく、お金を取られるじゃないですけど、そんな気持ちになっていたことは否定できません。
話さえ聞けば、そうなんだな、面白いんだぜってなるんですよ。そういう“金融脳”を少しでも持っている人は。お金を取られるんじゃないかという、そのイメージを払拭したいなと思ったんです。だって10年で資産が1・5倍とかになればラッキーじゃないすか。それが引退したタイミングで、家族を抱えていたとすれば素晴らしいじゃないですか。
プロ入り時に球団から受け取った契約金が手元に2000万円残っていたとしましょう。それを銀行に預けるだけではなく、理にかなった方法で運用していればどうなるでしょう。これは個人、個人の判断ではあるんですが、プロ野球選手はスタート時点で元手を手にしているのに、みんな分かってないですからね。
普通にお勤めされている方々が65歳くらいに退職金としてまとまった金額を得て運用をスタートするところを、野球選手は20代とか30代で手にし、大きな時間的アドバンテージを持っているんです。これはあくまでも僕の立場からのお話ですので押し売りはしません。が、興味を持ってもらえるアスリートには全力で協力させていただきます。