世界最大プロレス団体の米「WWE」スーパースター・中邑真輔(44)がインタビューに応じ、現在の心境を激白した。佐々木憂流迦(35)とシングルマッチを行う来年1月1日のノア東京・日本武道館大会に向けて帰国。11月から〝ウェイワード・サムライ〟へと変貌し、US王座を獲得したことで新境地に手応えを感じているのか。2026年1月4日に現役を引退する新日本プロレス・棚橋弘至(48)への思いとは――。
「奇跡の一戦」と呼ばれた2023年1月1日のグレート・ムタ戦(日本武道館)から2年ぶりのノア参戦。「現在進行形の中邑真輔を持ってきたって感じですかね。日本武道館で元日に試合ができるのも、日本人として気分がいいなと」と笑みを浮かべる一方で、対戦相手の佐々木への評価は手厳しい。
中邑にとって佐々木は格闘技ジム「和術慧舟會」の後輩にあたるが「この世界に入ってきたからには、もうお客さまじゃないわけですから。容赦はしねえよって」ときっぱり。今回の試合を前に葛藤を明かしている佐々木を「ネガティブな発言しかしてねえなって。俺(がデビューした当初)はつま先が骨折してでも背伸びしてたくらいなのに『情緒不安定です』とか『どうしたらいいんでしょう』とか、はあ?って思って。ハードル下げようとしてるのかって感じるわけですよ」と斬り捨てた。
もっとも中邑としては、進化と変化を続ける現在の自身の姿を見せつけるだけだ。11月から不気味なメークを施し、コスチュームを一新。凶悪さを増したファイトスタイルで、US王座を奪取した。キャリア23年目にして新境地にたどり着いた形だ。
「(ムタ戦から)2年の時間を経て、徐々にではありますが〝毒〟が自分の体の中にも回って来て。それを自分のフラストレーションだとか、怒りだとかを吐き出せるようになったってところでしょうかね。それを自由自在に表に出せる能力が備わったのかなと」と自らを分析する。
くしくも「怒り」というキーワードは、師匠の故アントニオ猪木さんが生前こだわってきたものだ。「ここに来て怒りを見せるという部分が、やっと理解できるようになってきた感じがします。猪木さんは世界の貧困とか、そういうものをリング上に昇華させてきたわけですけど、そういうレベルでの怒りの導き方というか、この年齢になってちょっとずつ分かるようになってくるんだと思って。このキャリアになって、まだ新しく得るものがあるんだなって面白がってます」と感慨深げな表情を浮かべた。
一方で日本のプロレス界に目を移すと「終生のライバル」と呼ばれた棚橋が、26年1月4日東京ドーム大会での引退を表明した。中邑は「今のプロレス界において48歳で引退(決断)は若干早いくらいかもしれないですけど、棚橋さんが負ってきたダメージは僕らでは計り知れないし、社長というポジションへの責任もあるでしょうし」と、その決断を尊重する。
引退ロードでの両者の再会を期待するファンも多いが、こればかりは団体同士の事情もあるだけに複雑な問題だ。「どうでしょうね、分からない。『ネバー・セイ・ネバー』って言うくらいだから。(周囲が)言ってるのは耳にしますけど、現実問題を考えた時に…。感情論は何とでも言えますけど、現実的なものをクリアしないといけないわけだから。僕が口に出すべきではないこともあるだろうし、何も確約できない。そこに責任を持てないから」と慎重に言葉を選びながら胸中を明かした。
ともあれ、25年も中邑から目が離せなくなりそうなのは間違いない。「今の状態の中邑真輔になって日が浅いので、これから進化、変化していくんだろうなって。自分でもどういうものが見れるのか楽しみにしてます」。〝ウェイワード・サムライ〟が、元日の日本武道館で唯一無二の輝きを放つ。
【卑劣なサムライに変貌】中邑は5月10日のスマックダウンに登場以降、WWE中継から姿を消していたが、11月15日のスマックダウンで約半年ぶりに戦線復帰。US王者のLAナイトへ急襲を繰り返し、王座挑戦をアピールした。両目の周囲に赤と紫のダメージメークを施し、コスチュームも戦国武者風に一新され〝ウェイワード・サムライ〟として戻ってきた。
同30日のPLE「サバイバーシリーズ:ウォーゲームス」の王座戦では、兜(かぶと)と面頬(めんぽお)を着けて入場。激戦の末にナイトの背後からキンシャサをぶち込み、通算3度目のUS王者に輝いた。
王者になっても卑劣な襲撃は止まらず、前回スマックダウンでも前王者のナイトを襲った。道を外れたサムライは、新たな姿となって存在感を高めている。WWEは「ABEMA」にて放送中。