韓国の憲法裁判所は尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾訴追案を14日に国会が可決したことを受け、弾劾訴追が妥当かどうかを審査し、半年以内に、罷免するかどうかを判断する。
尹氏による12月3日の非常戒厳宣言騒動後、国会周辺では、国民による尹氏の弾劾を求める大規模集会が繰り返され、その「民心」(民意)が弾劾訴追案の可決につながった一因だった。
最近まで尹氏弾劾を支持するデモが連日行われているというニュースばかりが目を引いたが、現在では弾劾反対デモの勢いが上回っているという。
韓国事情に詳しい文筆人の但馬オサム氏は「韓国では尹錫悦支持者を中心とした保守派が、息を吹き返しつつあるようです。実はここへきて尹大統領支持、弾劾反対のデモが起こり、光化門広場には弾劾支持を訴える李在明派のデモを上回る数を集めたといいます。タレントや人気インフルエンサーもこれに参加し、熱気を帯びていました。彼らのデモでは、韓国国旗である太極旗とアメリカ国旗が並んでたなびいているのが特徴的で、これは従北・反米反日といわれる李在明氏に対するカウンターを意味しています。対する弾劾支持派のデモには国旗はなく、ペンライトやサイリウムなどの光り物が目立ちます」と語る。
韓国俳優ユ・トゥンのユーチューブチャンネル「ユ・トゥンTV」に22日にアップされた「光化門1000万人コンサート」というタイトルの動画を見ると、ユ・トゥンが街宣車に上がり、数万人の保守派の観客を盛り上げている。コメント欄には「愛国者ユ・トゥン先生最高です」などと多くのコメントが寄せられている。
その尹氏支持の保守派は「野党が圧勝した4月の総選挙に不正があった」「尹大統領はこの不正をただすために、戒厳宣布という極端ともいえる手段を取らざるを得なかった」と主張しているという。
但馬氏は「今のところ、2つのデモ隊の間で物理的衝突はなく、また、保守派のデモで弾劾が引っくりかえるとも思えませんが、バイデン政権下のアメリカと同様、韓国も分断が進みつつあるようです」と指摘している。