巨人は楽天から自由契約となっていた田中将大投手(36=前楽天)の入団会見を25日に都内のホテルで行った。推定年俸は1億6000万円プラス出来高の単年契約で、新たな背番号は「11」に決まった。日米通算200勝まであと3勝に迫りながら、足踏みが続くレジェンド。新天地で完全復活するために必要なものとは――。
指揮官と右腕の言葉が重なった。阿部監督が「いろいろウダウダ言われてますけど、できるって信じて(マウンドに)上げるしかこちらはできない。2桁勝ってジャイアンツのユニホームを着て一緒に日本一になることしか僕は考えていない」と言えば、田中将も「僕もウダウダ言われているのは知っているので、ほんと自分で証明するしかない。結果で恩返しと思っています」と力を込めた。
昨年10月に受けた右ヒジのクリーニング手術の影響で今季はわずか1試合の登板で0勝。自由契約を選び、新天地に望みをかけた右腕に巨人内からは「田中将が復活できるかどうかは、今までのやり方をすべて捨てられるかにかかっている」(チームスタッフ)との声が上がっている。
田中将は日米球界を股にかけ、すでに197勝の実績を積み上げてきた。だが、こうした選手ほど難しくなるのが〝聞く耳〟だという。
例えば、オリオールズへの移籍が決まった菅野だ。今季こそ投手2冠とセ・リーグMVPに輝いたが、近年は成績不振に苦しんだ。その右腕を復活させた功労者の一人が久保康生巡回投手コーチだが「最初は菅野に助言を聞いてもらえなかった」と述懐する。エースとして最前線に立ってきたような選手は投球フォームやトレーニング方法などがすでに確立され、根底から壊すにはエネルギーも時間も必要だったという。
菅野の場合は元同僚の大竹コーチを介することで〝懐柔〟。徐々に距離を縮めていったが、それでも約4か月間の回り道となった。来年11月で37歳、しかも単年契約の田中将にとってそこまで時間的な猶予は残されていない。
楽天時代の2013年には伝説のシーズン24連勝を達成した生きるレジェンド。会見では「環境も変わっていく。コーチだったり、若い選手はやるべきことがたくさんあるので練習などを一緒にして吸収して変化していけたら」と貪欲な姿勢ものぞかせた。もちろんプライドも自信もあるだろうが、もう一度輝きを取り戻せるかはすべて本人にかかっている。