Jリーグの監督人事に見られる裏事情とは――。来季に向けてサッカー界では、各カテゴリーのクラブで監督の就任や退任が続々と行われている。中には、J1福岡が招へいした金明輝新監督(43)のように、過去のパワハラ歴で波紋を広げるケースも。元日本代表FW武田修宏氏(57=本紙評論家)が、昨今の監督人事において決定に至るまでの背景をズバリ指摘した。
来季の戦いを見据えて、新監督を迎えるJクラブは少なくない。J1ではFC東京の松橋力蔵監督、鹿島の鬼木達監督、川崎の長谷部茂利監督らが新たに就任した。そうした動きの中で、金監督のように話題を集める人事もあった。
金監督は鳥栖を指揮していた21年に、同U―18監督時代(2016~18年)を含めてパワハラ問題が発覚。選手やチームスタッフに対するパワハラ行為がJリーグから認定され、指導者ライセンスがS級からA級へ降格処分を受けた。その後、町田でコーチを務めた今年2月にS級を再取得。福岡側は監督として最適の人物と主張するが、一部サポーターの間では反対意見も渦巻いている。
こうしたケースも踏まえて、Jクラブで展開される近年の監督人事について武田氏は持論を展開。「今、福岡の監督で『なんで?』だとか、他のクラブで『なんで(カテゴリーが)落ちたのに責任を取らない?』とか、いろいろ(意見が)あるけど、Jクラブの社長さんは、各スポンサー企業からの出向などが多い。サッカー人脈があまりない中で、(選手や指導者の代理人を務める)事務所に頼らざるを得ない」との見解を示した。
事務所との〝つながり〟が重視され、クラブ側には限られた選択肢しかないというわけだ。「これは良い悪いではなく仕方ないこと。本来ならチームづくりは強化部長の仕事だけど、コロコロ変わってしまうからね」と武田氏はフロントにも問題があると強調した。
オフに注目を集めた監督人事から、Jクラブの実情も浮き彫りになっているようだ。