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怖いのは詐欺だけじゃない!〝リフォームの落とし穴〟一括見積もりサイトの闇を専門家が詳説

東スポWEB 2024年12月26日 17時4分

リフォームの必要がないにもかかわらず、「屋根が壊れている」などとうそで不安をあおり、高額な請求をする“リフォーム詐欺”が後を絶たない。本当にリフォームが必要になったときはどうすればいいのか。一括見積もりサイトの闇とは? 流通ウォッチャーの渡辺広明氏とともにリフォームのプロに直撃した。

「リフォーム詐欺の中でも屋根と外壁塗装が多い理由は単純です。『外から見えた』といってピンポンを鳴らすだけで訪問販売できるから手っ取り早い。とはいえ悪質なリフォーム業者は毎年、摘発されていることも確かです。それなのになぜ増えているか? これまでオレオレ詐欺を働いていたような連中が“表の仕事”のほうがマシだと流れてきているからです」

こう明かしたのはアドカラーズ株式会社の代表取締役社長で、リフォームジャーナリストとしても活動する冨岡龍也氏(38)だ。

すぐに高額な契約を結ばなければいいと思うかもしれないが、リフォームに関して信頼できる業者を見つけるのは簡単ではない。

自身が暮らすマンションの大規模修繕に伴い、修繕委員会の委員を務めたばかりの渡辺氏は「大きい会社から小さなところまで数社に見積もりを依頼したところ、金額差が大きくて驚いた。本当に同じ修繕内容になっているのか、見積書を見ても素人目には分からないことばかりだった」と振り返った。

住まいが一戸建てだとしてもリフォームが必要になるのは竣工から10年以上が経過していることがほとんど。マイホームの延べ床面積や建坪を正確に記憶している人は多くない。ゆえに折り込みチラシの安さにつられて見積もりを依頼すると出てきた数字に驚くことになる。

「小さく延床30坪(100平米)と書かれていますが、都内ならまだしも全国で見たら平均的な戸建てはもっと大きいですからね、実際にこの金額ではできません。また、最大10年保証というのもどのプランにも適用されるわけがありません。耐用年数が12年の外壁塗装なら保証できるのはせいぜい半分の6年がいいところです」(冨岡氏)

インターネット上には便利そうに見える一括見積もりサイトも存在しているが、冨岡氏はそこにもまた“落とし穴”が存在すると明かした。

「IT系の企業が運営するサイトではまず見積もりに参加する会社すべてからシステム利用料という名目で1回2万円程度の“参加料”を取り、成約した1社から見積金額の約20%の“成功報酬”を受け取ります。これほど中抜きされては工事をする会社に残るべき利益がほぼ残りませんよね…」

100万円が妥当な価格のリフォームで考えると分かりやすいだろう。5社が見積もりするだけでIT企業はまず10万円(=2万円×5社)をゲット。さらに受注した工務店から20万円を受け取り合計30万円の利益を上げる。一方、工務店には100万円の売り上げは立つものの、22万円も抜かれては利益が小さすぎて経済活動として成立しない。ならば最終利益を確保できるようあらかじめ逆算して、一括見積もりサイトでは通常よりも高い金額を出すリフォーム会社がほとんどだというのだ。

こうした実態について、冨岡氏は「建築業界があまりにもITに疎いことが最大の要因。経営者も職人さんもITツールを満足に使いこなせていない」と分析する。冨岡氏が経営するアドカラーズではSNSを活用して消費者目線の情報発信と見積もり相談を行っている。

「弊社の見積書には使うものの原価も作業人工(いわゆる人件費)、会社利益も赤裸々に記載しています。外壁塗装でいったら基本的には塗料の使いまわしはできないものです。だからこそ、1平米当たりいくらではなく、一斗缶を何缶使っているのかがプロが見るところ。こうした当たり前を知らず、一番安いからという理由だけで選ぶのは危険を伴います」

リフォーム業界に限らず、「●●一式」と詳細が分からぬようざっくりと書かれている見積書は少なくない。渡辺氏は「総額120万円のうち会社の利益が約30万円と書かれていたら、値引きが得意な僕でも『なんとか10万円安くして!』なんて言えなくなる(笑い)」と舌を巻きつつ、「買い手と売り手が知っている知識に差がある状態、いわゆる“情報の非対称性”がリフォーム業界では特に大きいのかもしれないですね。価格の仕組みを知らないと安さは正義になりやすく、かつ素人が分かりづらい複雑な業界ほど広告が過大になりがち」と懸念を示した。

冨岡氏は「職人の人材不足も問題です。腕の立つ職人さんでも低報酬で働かせれば数をこなすしかなくなり雑に作業して、結果的にお客さまの信頼を損ねる悪循環にハマってしまう。そうならないよう、これから全国の信頼できる業者に仕事を紹介できるような仕組みを構築していきたい」と変革を目指している。

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