厚生労働省は26日、顧客による従業員に対する著しい迷惑行為「カスタマーハラスメント(カスハラ)」について、企業に対策を義務付ける報告書をまとめた。
同省審議会が取りまとめた報告書では、カスハラを「顧客や取引先、施設の利用者による、社会通念上相当な範囲を超えた言動で、労働者の就業規定が害される」と定義した。
その上で、企業には消費者の権利が阻害されないよう配慮しながら、対策マニュアル策定や相談窓口の設置、カスハラから従業員を守り、安心して働ける環境づくりを義務付けている。
また、就職活動中のセクハラ防止策も義務付ける。従業員が被害を受けるセクハラとは違い、法律上の対策がされていなかったことで学生と面談する際にルールを定め、被害の相談窓口設置や周知、被害者への謝罪対応を求めている。
今後、厚労省は「パワハラ防止法」改正案を策定し、来年1月に招集予定の通常国会に提出する方針だ。
労働問題に詳しい与党議員は「カスハラの代表的な行為は、就業者への身体的攻撃や個人への嫌がらせ、性的な言動、土下座の強要や顔や名前をスマホで撮影し、無断でネット上で公開するなどの悪質な行為などが挙げられています」と説明した。