ソフトバンクは今シーズン91勝を挙げ、2位・日本ハムに13・5ゲームの大差をつけ、4年ぶりにパ・リーグを制した。だが、日本シリーズではセ・リーグ3位からクライマックスシリーズを突破したDeNAに惨敗。「日本一」にはあと一歩届かず、完全制覇とはならなかった。何が足りなかったのか。本紙評論家の加藤伸一氏が、日本シリーズの敗因を分析した。
【加藤伸一・インハイアウトロー】圧倒的強さで悲願のリーグ優勝に輝いた小久保ホークス。だが、日本シリーズでは少々疑問の残る采配が見られた。
一言で言えば、日本シリーズを落とした要因は、投手起用だ。救援陣に故障者が続出し、先発を我慢しなければいけないところで交代のタイミングを間違えた。また、シーズン終盤から出てきた若い投手が多く登板した印象があるが、短期決戦の緊迫した場面ではシーズンを通して投げた実績ある投手からつぎ込むのがベターだった。
例えば大津は今季から先発に転向し、7勝を挙げた。中継ぎの経験もあるため日本シリーズでは救援に回ったが、第3戦で失点して以降は一度も起用されなかった。ヘルナンデス、オスナの登板機会が少なかったこともミスと言わざるを得ない。
責任の所在を明確にすることは難しいが、小久保ホークスにとっていい経験になったと思う。首脳陣全体で共有し、来年以降に生かされることを期待したい。
日本シリーズでの消化不良はあったものの、それでも1年目から42個の貯金をつくり、4年ぶりのリーグ制覇を成し遂げたことは立派だ。巨大戦力を抱えるホークスだからこそ、求められるものは大きい。
今オフのパ・リーグ各球団の戦力補強を見ても、ホークスは優勝しなければならない戦力を誇っている。新シーズンは開幕からスタートダッシュを特別意識する必要はないと思う。すべての試合に勝つ必要はない。うまく星勘定をしながら、悲願のリーグ連覇、日本シリーズ制覇を期待したい。