阪神・藤川球児監督(44)が新春インタビューに応じ、今季で創設90周年を迎える猛虎の「今」と「これから」を語った。司馬遼太郎をはじめとした歴史書の愛読家でもあるタテジマ指揮官は、生粋の土佐人らしく理想とするリーダー像に故郷の英雄・坂本龍馬と板垣退助の名を挙げ、チームに自由の気風を吹き込むことを公約。2025年の老舗伝統球団には、これまでにはなかった新しい風が吹くのかもしれない。
【阪神・藤川監督 新春インタビュー(後編)】
――監督経験がない指揮官がデビュー年に優勝した例は阪神にはない
藤川監督 この球団、あんまり勝ってないじゃないですか(笑い)。
――2リーグ分立以降の優勝回数は6回だけ…
藤川監督 自分は初めてなんで。経験者がたくさんいる中でやるんで、前の人と比べても仕方ない。相手が違うしね。
――岡田前監督(現オーナー付顧問)の後を受け継ぐ重圧もあるのでは
藤川監督 全くないですね。能力を持った首脳陣と、年齢層も若く力のある選手たちがいる。そういう状況でチームを預からせてもらうことに対する感謝の方が大きいですね。岡田前監督もそうだけど、金本さんから始まったあの時が今につながっている。
―――球団創設90周年に携わることをどう受けとめているか
藤川監督 いや、100年に向けてです。100周年に向けて一歩ずつ進んでいくということなんで。僕のところはどうこうというのは全くないですね。
――自身が理想とするリーダー像を歴史上の人物に例えるなら
藤川監督 僕にとって偉人は坂本龍馬さんなんですけどね。板垣退助さんもいますね。自由民権運動の。自由はこの球団に確かに必要ですけど、老舗球団なんで。他球団は(酷暑対策として試合前練習中の)短パン着用を取り入れたりしてますね。阪神はまだ取り入れてなくて、なかなか難しいところがあったけど、そこは板垣退助の力を借りようかなと(笑い)。
――老舗球団だけあって、阪神は何事にも保守的なイメージが強かったが
藤川監督 ちゃんと理論を説明してあげればいいんですよ。例えば短パン・Tシャツの方が、なぜいいのかとかね。「Tシャツ姿だと、マイナス5度は体感温度が違うよ」とか。ちゃんとエビデンスがあって僕はそれを知っているけど。ユニホームというのは暑いから、それでメッシュになっているから。説明責任があるんですよね。選手たちに対し、説明の必要があるならばやりたい。目の下だってまぶしいからアイブラックがあるわけで。第1ボタンも暑苦しいからね。実際に暑いしね、ネクタイもね。今スーツじゃなくなってきた会社も出てきたしね。そのあたりは、いろんなことを取り入れながらやりたいと思います。
――打順を組む上で現在、コアとして考えている選手は?
藤川監督 コアは大山ですね。
――大山を雑に扱うことはないと過去にも言及。
藤川監督 雑な扱いはしないでしょ(笑い)。それはすごい球団が獲りに来ていたわけだし。2025年に勝ち続ける集団として、一番大事なリーダーシップを持ってもらう選手なので、彼が一番輝くところで、と考えています。
――大山のどのような点を評価しているか。
藤川監督 勝負強さ、出塁率、それから守備のハンドリング。金本さんがよく仕込んでくれて、紆余曲折あって、苦しみながら30歳までキャリアを積み重ねてきた。ポジションを「与えられて」出てきた選手ではないからこそ、力強さを持っている。僕はもう、彼は40歳を超えても現役でできると思いますね。それだけの取り組む姿勢を持っているから。まあ、いいところで打ってくれるでしょう。