バイデン米大統領は日本製鉄を中国企業と間違えたのか。日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画がバイデン大統領に阻止されたことが日米で大騒動となっている。
両社はそろって声明を発表し、「米憲法上の適正手続きや法令に違反している」と反発した。日本製鉄は米政府を提訴するという。
また、USスチールのデビッド・ブリット最高経営責任者(CEO)は、「恥ずべきであり、腐敗している」とバイデン大統領を強く批判した。日本の武藤容治経産相も「国家安全保障上の懸念を理由として、このような判断がなされたことは理解しがたく残念だ」と首をかしげている。
阻止の背景については、バイデン大統領の支持基盤が買収に反対する全米鉄鋼労働組合ということもあり、経済的な理由というよりは政治的な理由によるものと指摘されている。
一方で米政府がこの件のプレスリリースで中国系企業の名前を表記するミスをしていたことがある疑惑を生んだ。別のプレスリリースと間違えたとのことだが、SNSでは「バイデンさん日鉄を中国企業だと思っていて阻止した可能性があるのか」と怪しまれているのだ。
確かにバイデン大統領は過去にゼレンスキー大統領とプーチン大統領を言い間違えるなどミスが多かったのは事実。さらに、米メディア「フォックスビジネス」が「バイデン氏は買収計画阻止で日本を中国と混同」と米下院議員の言葉を伝えたことも疑惑に拍車をかけた。
このニュースを受けて、日本のSNSではバイデン大統領が日本製鉄を中国企業と混同したと受け止める反応もあるが…これは誤解だ。先述の下院議員は「バイデン氏は日本を中国と混同している。日本はすばらしい同盟国だが、中国は敵対国だ」と、バイデン大統領は敵国と味方の区別が正しくできていないと述べているにすぎず、日本製鉄を中国企業と間違えたとは言っていない。
言い間違いの多かったバイデン大統領とはいえ、さすがにそんな初歩的なミスを犯したわけではないようだ。