新日本プロレスの後藤洋央紀(45)が、実に9年ぶりとなる団体最高峰のIWGP世界ヘビー級王座(現王者はザック・セイバーJr.)挑戦への決意を明かした。2016年2月11日の大阪大会で当時のIWGPヘビー級王者オカダ・カズチカ(現AEW)に敗れた一戦は、あらゆる意味で払しょくしなければならないトラウマ。〝ラストチャンス〟で念願のIWGPをつかみ取る。
後藤は4日の東京ドーム大会で17選手が参加した「IWGP世界ヘビー級王座挑戦権争奪ニュージャパンランボー」を制し挑戦権を獲得。6日の大田区大会で「満を持して次の大阪、挑戦させてもらうぞ。何度負けようが、諦めなければそれは負けじゃない。戦いは始まったばかりだ」と、2月11日エディオンアリーナ大阪大会での挑戦権行使を宣言した。
艱難辛苦(かんなんしんく)を乗り越えての挑戦だ。前身のIWGPヘビー王座戦で8連敗という不名誉な記録を保持する後藤が、最後に挑戦したのは9年前にさかのぼる。
取材に対し「9年間…とにかく這い上がることだけをイメージはしてました。ここまでついに這い上がってきたんだなと。あっという間でしたけどね」と感慨深げな表情を浮かべつつも「次の9年後にはもういないかもしれないし、これがラストチャンスかもしれないというのは俺自身も思っているし、見ているお客さんも思っているでしょう」と不退転の決意を示した。
最後の挑戦となった9年前の大阪は、苦い記憶として残っている。オカダに挑んだ後藤は白塗りの上半身に写経をペイントした姿で登場したものの、リング上では変化を見せることなく敗れた。
「何もかもが空回っていた時期ですね。〝白武者〟になったのもそうだし、あの試合自体も途中で記憶が飛んで覚えてないくらいの試合だったので。黒歴史的なものではないけど、自分自身でも何で白武者になったのかが分からないのが一番の問題なのかなと。そりゃ本人が分からないんだから、見ている人にも分かるわけがないですよ。とにかく全てに焦って、自分自身を見失ってましたね」と赤裸々に当時を振り返る。
くしくも決戦の舞台に指定したのは、9年前と同じ2月の大阪だ。「あの試合は自分のタイトルマッチの中でワーストバウトというか、トラウマのようなものがあるので。俺の9年間をぶつけて、払しょくする最高のチャンスかなと思ってます」と秘める思いを明かした。
今年の1・4東京ドームのメインはザックが海野翔太の挑戦を退け、2006年大会のブロック・レスナー以来19年ぶりに外国人選手が締めくくった。5日東京ドーム大会に至ってはセミもメインも外国人選手同士のシングルマッチだった。
「ここは新日本プロレスなんだ。日本人が活躍しなくて何が新日本プロレスなんだと。俺が日本人の強さを見せたい」
8度も跳ね返され、9年も遠ざかり、誰よりもIWGPの壁の高さを知るキャリア22年目の荒武者が、悲願をかなえる時が来た。