まさかの黒星発進だ。大相撲初場所初日(12日、東京・両国国技館)、横綱照ノ富士(33=伊勢ヶ浜)が小結若隆景(30=荒汐)の肩すかしに屈し、黒星を喫した。過去2場所は両ヒザの古傷や糖尿病の影響で全休。3場所ぶりとなる本場所の土俵で、格下に足をすくわれた。取組後の支度部屋では取材対応せず、沈黙を貫いた。
一方の若隆景は横綱から初勝利となった。取組後は「ちょっと覚えてないです。思い切っていこうと思いました。一つ、自分の中で自信になっていくんじゃないかなと思います」と喜びもひとしお。右ヒザ手術を乗り越えて三役に復帰した実力者は「(ヒザは)徐々に良くなってきている。(今年は)いい一年にしたいので、明日から一番一番、自分らしい相撲を取っていきたい」と完全復活へ向けて意気込んだ。
初日の取組を視察した横綱審議委員会の山内昌之委員長(東大名誉教授)は「照ノ富士はしばらくぶりの本土俵で、しかも初日。十分に力を出せずに終わった」と一瞬で終わった取組を分析。「動きが極端に鈍いとか、力がないというものではなかった気がする。(取組の)回を重ねれば戻ってくると思う」と2日目以降の巻き返しに期待した。