綱の意地を見せた。大相撲初場所2日目(13日、東京・両国国技館)、3場所ぶりに出場した横綱照ノ富士(33=伊勢ヶ浜)が幕内隆の勝(常盤山)を寄り切って初白星を挙げた。
過去2場所は両ヒザの古傷や糖尿病の影響で全休。今場所は初日に小結若隆景(荒汐)の肩すかしに屈し、取組後は取材対応せずに支度部屋を後にしていた。連敗なら休場もちらつく中、初日を出して懸念を払拭した。
この日は取材に応じ「今場所は自分のすべてを出し切って、ダメだったら…という思いでやっている。(勝って)一つ自信になった。昨日は余計なことを考えてしまったので、悔いが残っていた。今日は今までの相撲をもう一回やりたいと思っていた」と熱弁した。6日の稽古総見から場所前の実戦稽古を始めたばかり。調整の遅れと体調の不安を、この一番で吹き飛ばした。
また、この日は国技館に母のオヨンエルデネさん、ドルジハンド夫人と2歳の長男・照務甚(てむじん)くんが来場。「お母さんと奥さんと子供が見に来ていた。勝った相撲を見せられて良かった」と笑顔を見せた。
番付上位陣では、初日に大関大の里(二所ノ関)が黒星発進で、2日目に綱とり挑戦中の大関琴桜(佐渡ヶ嶽)が小結阿炎(錣山)に敗れるなど、初場所は波乱の幕開けとなっている。
3日目は元大関の幕内霧島(音羽山)と対戦する。照ノ富士は「後先考えずにやりたい」と気持ちを引き締めた。