決断の時が着々と迫っている。ソフトバンク・小久保裕紀監督(53)は13日、巨人にFA移籍した甲斐拓也捕手(32)の補償について言及。現状について「次のズームミーティングで(話し合う)」と、近日中に開催予定のフロントとのオンライン会議で一定の方向性が示されるとの認識を示した。
球団が巨人からプロテクト名簿の提出を受けたのが、仕事納めとなった昨年末の12月27日。小久保監督は現時点で「(リストはまだ)見ていない」と語り、城島健司CBO(47)ら編成幹部とも「その話は全くしていない」と状況を淡々と説明した。
巨人と甲斐の契約締結合意が公示されたのが先月20日で、回答期限は40日以内。Bランクの甲斐の補償について、ソフトバンクは「金銭補償のみ」または「人的補償プラス金銭補償」を選択できる。小久保監督はこの日「ドラフトもそうだけど、聞かれたら(自分の考えを伝える)というスタンスでいる」と、フロント主導で絞り込みが終わった後に、現場の意見とすり合わせて補償決定に至る流れを説明した。
球団は人的補償を選択する場合、相手があることを重々承知した上で熟考を重ねてきた。一部ファンの間では、小久保監督が現段階でリストに目を通していないことに違和感を訴える声が上がったが、編成をつかさどるのがフロントの仕事。選手獲得においては、歴代監督も口を出したことはない。ホークスに限らず、金銭補償のみか人的補償を求めるかの判断、人的補償にするなら誰を指名するかは、フロントが一定の方向性を出してから指揮官に話を持っていくのが一般的と言える。
四軍制を敷き、12球団随一の巨大組織であるソフトバンク。鷹の将はかねて組織がうまく回るために部署ごとの役割を明確にし、プロフェッショナルに権限内の業務に従事することが重要と訴えてきた。この日も「聞かれたら」と複数回強調した小久保監督。甲斐のFA補償が議題に上る近日開催の会議では、フロントの狙いや案を受けた上で意見を求められれば自身の考えを表明するつもりだ。