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【阪神】高卒新人・川藤幸三が江夏豊とたばこで大ゲンカ…初代・虎風荘で生まれた友情

東スポWEB 2025年1月14日 7時8分

【取材の裏側 現場ノート】阪神前OB会長の川藤幸三氏(75)が13日に兵庫・西宮市内の鳴尾浜球場にフラリと姿を現し、合同自主トレ中の新入団選手たちを視察。「ワシみたいなジジイが余計なこと言う必要もあらへんやろ」と少し遠くから金の卵たちを見守った。

「それよりも、よう考えたらワシが(新人として)練習していたのは57年前やもんな。感慨深く見とったわ」

川藤氏は1967年のドラフト会議で阪神に9位指名され高卒で入団。翌68年に今も甲子園球場左翼側に現存する初代・虎風荘に入寮した。

「ワシが1年目の頃や」とわれらがカワさんに当時の思い出話を聞かせてもらったことがある。

虎風荘内で一服していると「おう川藤、たばこ1本くれや」と1学年先輩の江夏豊氏に声をかけられた。だが「はい江夏さん。どうぞ」と少し横着をして振り向きもせずに後ろ手でたばこを手渡した川藤青年の態度に、若かりし日の伝説の左腕は大激怒。「おうお前! なんや先輩に対してその態度は!」。「何を言うてんですか江夏さん!」とたちまち大ゲンカになってしまったという。

「でもな、江夏さんはホンマに気持ちのええ方や。真正面からぶつかってケンカして、すぐに仲良くなってな」と振り返る川藤氏だが、当時はどう考えても未成年…。今よりもおおらかで豪快で特濃のキャラクターばかりがそろっていた初代・虎風荘時代のおとぎ話のような風景だ。ちなみにこの年、江夏氏は高卒2年目にして25勝12敗(26完投!)、防御率2・13という異次元の成績をマーク。シーズン401奪三振は今後も破られることがないであろう不滅の大記録だ。

今年のドラ1ルーキー・伊原陵人投手(24=NTT西日本)は入寮の際、スヌーピーのぬいぐるみを持参。44歳の青年指揮官・藤川監督ですら「ビックリした。ジェネレーションギャップを感じる次第ですが、何とか理解してみようと…」と絶句していた姿が印象的だった。鳴尾浜球場内に併設されている現行の2代目虎風荘も今年3月に兵庫・尼崎市内の大物へファーム施設が移転することもあり、間もなく役目を終える。〝当世選手気質〟がどれだけ変わろうと、若虎たちの友情、衝突、成長のドラマはこれからも続いていくのだろう。(阪神担当・雨宮弘昌)

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