中国若手俳優・王星(31)がニセ映画のオーディションをエサにタイにおびき寄せられ、そこからミャンマーで中国系特殊詐欺グループに監禁された事件が騒動となった。タイメディアの報道で少なくとも日本人6人も監禁されていることが発覚した。グループは10ほど存在し、それぞれが巨大な拠点を構えている。その拠点の一つの詳細が明らかになった。3000人ほどが暮らし、〝特殊詐欺タウン〟と呼べるほどだが、物価が中国の10~20倍だという。香港メディア「星島日報」が14日、報じた。
ミャンマーはクーデター後、国内情勢が不安定となっている。約130の少数民族の武装勢力がそれぞれ支配地域を維持し、ミャンマー国軍の手が及ばない状態だ。その武装勢力と手を結んだ中国系特殊詐欺グループが10ほど存在し、拠点を構えている。
その一つが「恒生公園」と呼ばれている。中国モデル・楊澤琪(25)がニセのオーディションにだまされてミャンマーに連れられ、監禁されているとみられる場所だ。楊はオンライン詐欺の実行役として〝打ち子(詐欺メッセージを作成・送信する役)〟を強要されている可能性が高いという。日本人がここにいる可能性もある。
公園の外側には高さ4メートルの壁があり、多数の警備員と実弾を持った武装職員が警備し、〝住民〟は壁に近づくことさえできない。中国SNS「微博」に投稿された動画によると、恒生公園の門は壮麗で、内部は2~3階建ての建物が多く、リゾートの雰囲気が残されている。
公園は2012年にカジノとして作られたリゾート地。現在、特殊詐欺グループの拠点となり、約2000人の中国人を含む約3000人が暮らし、世界中に特殊詐欺を行っている。ここに何か国の人が監禁されているかは分からないが、10の拠点には、合わせて21か国以上の人が監禁されているとみられる。
公園内にはレストラン、スーパーマーケット、カジノ、カラオケ、風俗、理髪店などがあるが、値段が非常に高く、中国の物価の10倍以上。中国では1~2元の缶ビールが公園では10~20元となっているそうだ。
ボスは湖南省出身で中国の国家級A級指名手配犯。密航によってミャンマーに逃亡し、さまざまな違法行為に従事し続けている。