ドジャースの大谷翔平投手(30)は移籍1年目の昨季、史上初の「50本塁打―50盗塁」を達成、ワールドシリーズを制覇した。さらにDH専任では初のMVPを受賞した。そんな偉業を振り返る“大谷本”が多数出版されているが決定版として話題になっているのが「SHOーTIME 3.0 大谷翔平 新天地でつかんだワールドシリーズ初制覇」(徳間書店)だ。著者のオレンジカウンティー・レジスター紙のビル・プランケット記者に背番号17の真実を聞いた――。
――番記者として取材した1年はどうでしたか
プランケット記者 実はこれはすでに何人かに言ったのだけど、もっと感心する機会が少ないだろうと予想していた。だが彼を毎日見ていて、彼が自分が思っていた以上にはるかに素晴らしい選手であることを思い知った。
――想像をはるかに上回ったと
プランケット記者 特に「50―50」。とにかくなんていうか、本当にただただ素晴らしい。とてつもないアスリートであり、私が予想したもの全てをはるかに上回る能力。だから、毎日の取材において、彼は私の期待を常に超えたよ。良い選手だと思っていたけど、彼を過小評価していたことに気付かされた。本当に。そしてそれは、ドジャースも同じだったんじゃないかと思う。彼らも、期待した以上のものをショウヘイから得たと思う。選手としても商品としても。彼によって、本当に巨額の利益を得たと思う。ドジャースの関係者は具体的な数字は明かさなかったが、すでに金銭的に生産性のあるチームに大谷現象はさらなる富をもたらした。
――本はどの部分から
プランケット記者(2023年の)FAを振り返るところから始めたよ。スタン・カステン(球団社長)、アンドリュー・フリードマン(編成本部長)、ブランドン・ゴームズ(GM)らに今回と、それ以前のものも振り返ってもらった。彼らにとってショウヘイと契約する3度目のチャンスだったからね。日本球界に入る前がストライク1、エンゼルスと契約した時がストライク2。3度目でようやく彼らはショウヘイを射止めた。その経験全てと、FAのプロセスなどについても取材し、そこから展開していった。
――書いていて楽しかった点、大変だった点
プランケット記者 楽しかったのは、通常の原稿より少しディープに追求できたこと。新聞だとどうしてもその日の締め切りがあるから、話を深掘りするにも限界があったりする。本の場合は、少し話を展開し、より深い話ができた。打撃コーチ2人に、ショウヘイとの日々のトレーニングはどんなものか、チームメートらの彼に対する印象など。それらは日々の新聞取材とは違うやりがいがあって、よかった。大変だったのは、ただ時間を見つけることだった。
――一番お薦めの章は
プランケット記者 恐らくFAのところかな。野球ファンで様子を追っていた人なら、知らなかった新しい事実が学べると思う。我々が知っていたことは、表面的に過ぎず、もっと深いところを聞くことができたと思うから、それは興味深かった。
――個人的に気に入っているのは
プランケット記者「ワンチャン、ゲンキ?」などと日本語のフレーズで彼と会話ができたところなどは個人的に気に入っているところ。彼はまるで私の日本語を分からないといった表情をしてみせたけど、本当は分かっていて、私のアクセントがひどいかのようにいじってきたりしたのは楽しかった。
――今季は投打二刀流に復帰する。期待は
プランケット記者 正直なところ、私は彼が投球復帰することで彼との接触が減少することを懸念している。彼が投球日だけ話すという前の事態にはなってほしくないが、そうなる可能性に驚きはない。昨年もシーズンが進むにつれ、彼と話せなくなっていったからね。前半は比較的話せたのに後半は話せなかった。その傾向が続かないことを願っている。