あっけない幕切れだ。大相撲初場所4日目(15日、東京・両国国技館)、初の綱取りに挑む大関琴桜(27=佐渡ヶ嶽)が幕内霧島(28=音羽山)に一方的に寄り切られてドロ沼の3連敗。取組後は「切り替えます。切り替えていくだけです」と言葉を絞り出した。1場所15日制以降に誕生した横綱で昇進直前場所の5日目までに3敗した前例はなく、綱取りは絶望的な状況となった。
先場所は14勝1敗の好成績で初優勝。新横綱誕生の機運が高まる中で、初日を迎えた。しかし、前日3日目に連敗した時点で、すでに角界内は〝終戦ムード〟。音羽山親方(元横綱鶴竜)は「もう黄色というか、赤信号に近い。(横綱に)上がる人が、場所前からあんな稽古では…」と指摘していた。
6日に行われた横綱審議委員会の稽古総見で、琴桜は同じ大関陣を相手に3勝10敗と精彩を欠いた。横綱経験者の目から見ても、準備不足は明らか。「今の状態ではちょっと厳しい。これもまた一つの経験として考えればいいのでは」と奮起を促した。横綱昇進の可否を判断する審判部内でも「残りを全部勝って優勝するぐらいでないと厳しい」「今場所はほぼ無理なのでは…」などと厳しい意見が相次いでいた。
この日の取組後、審判長の九重親方(元大関千代大海)は「何か空回りしている。そんなこと(綱取り)を言っている状態じゃない。勝ち越しすら見えなくなる」。横綱昇進どころか、カド番危機との認識を示した。来場所以降に望みをつなぐためには、これ以上の負けは許されない。和製大関は、ここから立て直すことができるのか。