Infoseek 楽天

【ソフトバンク】人的補償で望んだ「若手捕手」の名前… 巨人の甲斐2世はプロテクトされていた

東スポWEB 2025年1月17日 5時7分

ソフトバンクは16日、巨人にFA移籍した甲斐拓也捕手(32)の人的補償として伊藤優輔投手(28)の獲得を発表した。今月29日の補償期限が迫る中、球団は右ヒジ手術を乗り越えて復活した最速156キロ右腕を補強方針に沿って指名。若返りにシフトする中、フロント主導で進められてきた決着までの舞台裏に迫った。

ソフトバンクは15日に小久保監督も参加したオンライン会議を経て、伊藤の獲得を最終決定した。伊藤は2020年ドラフト4位で巨人に入団。1年目にトミー・ジョン手術を受け、育成選手として再契約を結び長いリハビリに専念した。昨夏に支配下復帰を果たすと、8試合に中継ぎ登板して防御率1・04。150キロ台中盤の速球と切れ味鋭いカットボールを武器に、今季は先発挑戦も視野に入れていた。前身のダイエー時代を含め、ホークスの「人的補償」選択は球団初。支配下枠はこれで「65」となった。

国内FA権取得を見込んでいた甲斐が一昨年オフに単年契約を選択。その時点で球団は甲斐の流出に備え、現場の声も参考に後継候補の育成にかじを切った。甲斐の巨人移籍が決まった後も、城島CBOは「今回いきなり甲斐が抜けたわけじゃない。十分に代わってやってくれるだけの人材がいる」と強調。昨季、現場は海野を一軍で併用し、谷川原をあえて二軍に留め置き実戦経験を積ませた。この流れからも「特別な例外」を除いて、捕手を外部から補充する考えは極めて低かった。

球団は数年先を見据えて若返りにシフトしている。ちまたで聞こえていた実績ある捕手の人的指名の可能性は、編成の視点からは微塵もなかったとみられる。捕手が抜けた分を捕手で埋める選択は「競争をあおる若い捕手」に限られていた。現場から挙がっていた名前が、山瀬慎之助捕手(23)だった。

だが、山瀬は甲斐がその才能にほれ込み、自主トレに同行させるほどの有望株。当然ながら巨人のプロテクト名簿に含まれていたとみられる。「甲斐君のFAが決まった時に、特に投手に決めているということはなかった。リストを見て総合的に決めた。いい投手がいればいいなと思っていた」(三笠GM)。フロントは次善の策として「先発適性を備えた投手」に狙いを定め、プロスカウトらの意見も参考に時間をかけて人選を進めた。

「金銭補償」を選択しなかった背景には、早期に一軍の戦力として見込めるほどの育成選手が乏しかった現実がある。50人以上の育成選手を抱えるチームだけに、競争を活性化させる狙いで支配下枠に余裕を持たせておくことは重要。だからこそ貴重な1枠だったが、シーズン開幕前に昇格に値する選手が多く見込めないと判断すれば、人的補償で選手層を厚くするのが自然だ。

先発は有原、モイネロ、スチュワートのローテーションが確定しているが、残りは競争となる。ロングリリーフが可能な中継ぎに誰を起用するかも現時点では未定。伊藤の加入が現場の選択肢を広げることは間違いない。効果的な人的補償となるかは、伊藤の右腕によって証明される。

この記事の関連ニュース