フジテレビにCMスポンサーが次々と「NO」を突きつけている。
18日までにトヨタ自動車、日本生命保険、明治安田生命保険、アフラック生命保険、NTT東日本などが同社に提供するCMの放送差し止めを決めた。これらのCMは公益社団法人ACジャパンのものに差し替わる。フジは17日に行った港浩一社長の記者会見で、外部弁護士による徹底調査を約束したが、その結果を待たずして港社長らの進退を問う声が強くなっている。
「やはりあの会見では理解は得られなかった」
そう語るのは現役フジ局員だ。タレント中居正広の女性トラブルに端を発した一連の騒動を受け、港社長は17日に記者会見を開催。しかし参加メディアは原則、記者クラブ加盟社などに絞られ、会見中の動画撮影はNG。記事解禁も会見終了後と制限を設けた。
肝心の中身も、調査委員会に委ねていることを理由に「回答を控えます」を連呼。一部で報じられた〝上納文化〟については「週刊誌報道にあるような性的接待があるとかそういったことは全くないと私は信じております」と願望を述べた。
他方で、中居と女性のトラブルを把握したのは「直後に認識しておりました。23年6月初旬となります」とサラリ。にも関わらず、中居の番組出演を続けたことに関しては「他者に知られずに仕事に復帰したいという女性の意志を尊重し、心身の回復とプライバシーの保護を最優先に対応してまいりました」と釈明した。
案の定、ネット上は批判の嵐。日本有数の有名企業が続々とCM差し止めを表明していることからみても、会見は大失敗と言える。
「スポンサーはすでに広告費を局側に支払っているため、CM放送差し止めは損失。それでも差し止めを選択するのだから、ガバナンス欠如のフジに対し『NO』を突きつけているのと同じだ」(代理店関係者)
テレビ局においてCM収入は生命線。現時点でフジからの完全撤退を表明している社はないが、問題を放置すれば〝そして誰もいなくなった〟になりかねない。前出のフジ局員の話。
「時間的な猶予はない。外部弁護士による調査結果を待つ前に、港社長以下、上層部を一新してイメージ改善を図るべきだ」
局内は重苦しい雰囲気で、状況がわからず右往左往する者、半ば諦めムードの者、見切りをつけて転職先を探す者もいるという。
「何の説明もないまま、現場で真面目に働いている局員が不憫でならない。4月入社予定の新入社員にも合わせる顔がない。ここまでくると中途半端な調査結果ではさらなる炎上を招くだけ。完全に膿を出し切らなければいけない」(同)
故ジャニー喜多川氏による性加害問題では、旧ジャニーズタレントが出演するCMはことごとく敬遠された。国会で取り上げられることもあった。結果、事務所は解体され、被害補償のSMILE―UP.と、タレントのマネジメントなどを行うSTARTO ENTERTAINMENTに分かれた。
フジもこのままでは解体コース。港社長に局員の悲鳴は聞こえるか――。