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【大相撲】10月ロンドン公演「横綱土俵入り」消滅の危機 残り5場所で新横綱は誕生するのか

東スポWEB 2025年1月20日 6時2分

日本の国技が大ピンチだ。大相撲初場所8日目(19日、東京・両国国技館)、大関豊昇龍(25=立浪)が幕内正代(33=時津風)に押し倒されて2敗に後退。今場所で優勝すれば横綱昇進の可能性がある中、早くも黄信号が点灯した。この日、日本相撲協会は今年10月のロンドン公演に続き、来年6月にパリ公演を開催することを発表。海外に日本の伝統文化を紹介する貴重な機会を前に、大相撲の象徴である横綱が不在の危機に直面している。

この日、日本相撲協会は来年6月13、14日にパリ公演を開催すると発表した。同地での開催は1995年以来、31年ぶり3回目。大相撲の海外公演は今年10月にロンドンで20年ぶりの開催を予定しており、来年のパリで2年連続となる。八角理事長(元横綱北勝海)は国技館で会見し「日本の伝統文化を紹介したい。伝統文化を守って、世界に広げていくことが大事」と意義を強調した。

一方で、協会関係者は「今は海外でも相撲のショーなどが増えて、人気があると聞く。海外公演で『本物は違う』というところを見せたい」と別の角度から狙いを解説する。近年は米国など海外でエンタメ色の強い「スモウショー」やトーナメント大会などが盛んに開催されており、大相撲経験者が参加するケースもある。数千人収容の大規模会場のチケットが完売することもあるほどだ。

もちろん、海外で相撲そのものへの関心が高まることは悪いことではない。ただ、海外のイベントでは日本の国技であり、神事でもある伝統文化の要素がほとんど伝わっていないこともたしか。その最たる例が横綱土俵入りの有無だ。横綱が綱を締め、太刀持ちと露払いを従えて四股を踏む姿は大相撲の象徴。世の中の平安と五穀豊穣を祈る意味も込められている。

そうした中、この初場所では一人横綱の照ノ富士が引退。横綱土俵入りを披露できる力士がいなくなってしまった。八角理事長は「(海外公演で)横綱土俵入りを見せてあげたい。ただ、こればかりは厳しいところ」と複雑な胸中を吐露。過去には引退後の横綱が巡業に参加した例はあるが「照ノ富士が務める? ないと思う」と否定した。

その上で、協会トップは「その前(海外公演前)に立派な横綱ができると思う。期待している」と現役力士に奮起を求めた。しかし、今場所はすでに大関琴桜(佐渡ヶ嶽)が綱取りに失敗。豊昇龍も2敗目を喫し、横綱昇進に必要となる「優勝」に黄信号が点灯した。今場所後に新横綱が誕生しなければ、3月の春場所では93年初場所以来、32年ぶりに横綱が空位となる異常事態に直面する。

直近のロンドン公演までの猶予期間は、今場所を含めてあと5場所。それまでに〝ゼロ横綱〟は解消されるのか。角界全体が、かたずをのんで行方を見守っている。

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