米国で18日、中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」のサービスが停止した。米国のユーザーには「申し訳ありませんが、現在ティックトックはご利用いただけません」というポップアップが表示された。人口約3億3500万人の米国で、約1億7000万人のユーザーが利用しているアプリだけに〝中毒〟の若者たちは悲鳴を上げている。しかし、20日に大統領に就任するトランプ次期大統領が救いの手を差し伸べるとみられている。
バイデン大統領が署名した「ティックトック禁止法」が19日、発効した。中国の運営会社「字節跳動(バイトダンス)」は18日深夜、サービスを停止し、ティックトックへの投稿や閲覧ができなくなった。
禁止法により、グーグルやアップルなどのサービスプロバイダーは、発効した後はティックトックの新規ダウンロードを許可しないようにしなければならない。これに従わない場合は、ユーザー1人あたり5000ドルの罰金が科される可能性がある。そのため、アプリはグーグルストアとアップルストアから削除された。
米紙USAトゥデーは「突然の消滅により、友人やトレンドを追いかける10代の若者から、そこで生計を立て、ネットでの名声を得るチャンスを得ていたクリエーターまで、この非常に中毒性の高い短編動画アプリを日常生活の中心にしていた月間ユーザー1億7000万人以上が孤立した」と報じた。
実際、多くのユーザーがインスタグラムやXなどで「15分でもう禁断症状が出ている」「消えたと分かっているのにティックトックを開いてしまう」などと記している。
そもそも情報流出や世論誘導のリスクが懸念され、トランプ氏は前政権時代にも「米国企業に売却すべき」と主張していたが、そのトランプ氏の再就任間際にバイデン氏が置き土産をした形だ。
そのティックトックを救うといわれているのがトランプ氏。すでに20日の就任と同時に禁止法を90日間猶予を検討していると明かしている。その間に米国企業に売却せよ、というわけだ。
米国事情通は「実は大統領選の勝利に大きく貢献したのがティックトックです。1億7000万人のユーザーの3分の2が若者。今回、大統領選でトランプ氏は7700万票、民主党のカマラ・ハリス副大統領は7500万票。トランプ氏自身やトランプ派のインフルエンサーがポッドキャストやティックトックでマッチョなメッセージを打ち出し、若い男性を票田にしたんです。トランプ氏は中国には強い姿勢を打ち出していますが、ティックトックには好意的な対応を取るでしょう。バイトダンス、さらには中国が得な条件で売却できる米国企業を指名すると思われます」と指摘した。