ドジャースは20球団が参戦した佐々木朗希投手(23)の争奪戦を制した。事前の予想通りの決着となったが、米メディアでは他球団のやっかみも含めてドジャースを「悪の帝国」呼ばわりするなど、賛否が渦巻いている。
代理人のジョエル・ウルフ氏による「中小規模の市場の球団が議論される」「日本人選手の在籍は関係ない」「佐々木はメディアに疲れている」「投手育成の重視」などの断片的な情報に球団もメディアも振り回され、終盤はダルビッシュとの関係性からパドレスが有力視された。ところがブルージェイズ、ドジャースとの三つどもえの戦いにパドレスが脱落。契約金650万ドル(約10億1000万円)でドジャースが合意し、最後は交渉にも参加した大谷が佐々木の決断を後押ししたとみられる。「ジ・アスレチック」によると、パドレスはドジャースを上回る1000万ドル(約15億5000万円)を提示していたという。
勢いの止まらぬドジャースは続けてパドレスからFAの最強リリーバー、タナー・スコットも獲得。4年7200万ドル(約112億5000万円)の大型契約を結び、他球団を〝ドン引き〟させた。NYメディア「ブリーディングヤンキーブルー」は「ドジャースは新たに佐々木を加えてキングギドラのようだ。すぐにスコットも獲得し、どれほど優れたチームになるのか。どれほどの資金を持っているのか」と皮肉を込めて伝えた。
元MLBのGMのジム・ボウデン氏はドジャースと佐々木サイドの密約を疑って「複数のチームがコミッショナーに調査依頼をするだろう」と警鐘を鳴らしているが、もちろん佐々木サイドは全面否定し、MLBも認めるはずもない。とはいえ、同メディアは「事前合意の否定自体がリハーサル的だ。メディア嫌いの佐々木は大都市ではない、小規模球団に引き寄せられると予想されていた。そのうえドジャースには大谷に、山本という大きな選手がいる。メディアに詮索されるような市場でプレーしたくなかったはずだ。そんな理由は都合のいいことに突然、どうでもよくなった」と疑惑の目を向ける。
続けて「(コミッショナーの)マンフレッドは間違いなく、不正行為を認めず、前を進むよう強要するだろう。しかし、疑惑の影は大きく立ち込めている。この砂上の楼閣が崩れ、彼らの陰謀が暴露される。まだこの物語は終わっていない」と強調した。