ソフトバンク・山川穂高内野手(33)が20日、沖縄県嘉手納町で行っている自主トレを公開し、まな弟子であるリチャード内野手(25)への〝しごきっぷり〟を披露した。
そのメニューは過酷なものだった。西武・山野辺も加えた3人による練習は、朝9時の徹底的なトレーニングから開始。一部報道陣も参加したが、リチャードと山野辺は股割りを15分間、プランクを10分間キープなど報道陣の3倍のメニューをこなした。さらには約1トンある乗用車を約30メートル押し込むトレーニングなど「一番最新からかけ離れた原始的な練習」というテーマで山川のもと、徹底的に体をいじめ抜いた。
2019年からともに自主トレを行っている山川とリチャード。これまで山川は「本気で教えた」のは1回目のみで、それ以降は「聞かれたら答える」スタンスを取ってきた。それが今年は練習メニューを全て管理、殻を破り切れない未完の大器が「絶対に変わりたい」と頭を下げたことで鷹の主砲もスイッチを入れた。
基本的な考え方は「質より量」。「首から上は使わなくていいと。脳みそで考える必要のないトレーニングを課したので。頭で考えるから量より効率となっていく。頭で考えるより体を動かせと」と若手時代、自身も取り組んだ練習を課した。
申し出を受けた翌日から続いた厳しいメニューも、この日で一区切り。山川は「この2か月、リチャードがよく頑張った」と弟子を称賛した。
地獄のメニューを耐え抜いた背番号52は「少しだけ動じないようになった気はします」と落ち着いた様子で一言。あまりのつらさに何度も救急車を呼ぼうとしたこともあったが、踏みとどまった。
オフに体重が増えるのが常だったが「誰がどう見ても体が締まった。サボってああいう体にはならない」と山川が言うように減量に成功。それでも「もう体重計には乗ってないですね。これだけやったら動けるようになるでしょって。体重ってただの数字なんで、何キロでも動けたらいいかなと思っちゃった」と達観した表情で語り、すでに体重という概念から吹っ切れた様子だった。
「こんなにやったから打てるっしょって感じ」と話したリチャード。師に恩返しするためにも、「不動の心」でまずは開幕一軍をつかみ取る。