フジテレビがますます混迷を極めている――。中居正広の女性トラブルを巡り、幹部社員A氏の関与が報じられるなどした影響で、CMを差し止めたスポンサー企業は20日時点で75社。長寿番組「くいしん坊!万才」の放送は、1社提供のキッコーマンの要請で見合わせとなるなど、問題は拡大する一方だ。
「閉鎖的だ!」などと批判された17日の港浩一社長の会見から、フジは大パニックとなっている。フジテレビを傘下に持つフジ・メディア・ホールディングスは21日、23日に臨時取締役会を開催すると発表した。社外取締役らが開催を要請していた。フジ・メディアHDは「臨時取締役会において公表すべきことが決議された場合は、速やかに公表いたします」とした。
開局以来、最大のピンチと言っても過言ではない状況だ。20日までにCM差し止めに踏み切った企業は75社で、350本以上のCMがACジャパンに切り替わった。「くいしん坊!万才」は放送見合わせとなり、「ミュージックフェア」に1社提供している塩野義製薬もテロップなどでの社名削除を検討しているという。
一般的にCMの差し替えは企業の判断によるため出稿費用は返還されないが、「フジへの批判の矛先がCMを流すスポンサーに飛び火し、不買運動につながることをみんな恐れている」(大手広告代理店関係者)。
出稿費用の返還はないからといって、もちろん〝無傷〟で済むわけはない。現在は4月の改編期に向けてCM枠を買ってもらうため営業の真っただ中だが、それどころではなくなった。
「港社長会見後、フジは広告代理店を対象に『新番組はどの層に向けたものか』など説明の場を設けました。ただ、みんな知りたいのは中居さんの女性トラブルを巡る今後のフジの対応です。港社長も会見では『回答を控える』などあいまいなものが多く、不安な広告代理店のフジ担当者らは『スポンサーに説明ができない』『調査委員会の結論はいつごろなのか』など説明を求めたが、明確な答えはなし。みんな頭を抱えるしかなかった」(広告代理店関係者)
港社長は、会見で中居のトラブルを発生直後の2023年6月には把握していたと説明。「女性のプライバシー保護」を理由にしていたが、スポンサーにとってはまさに寝耳に水だ。週刊誌で報道されるまで中居の起用を続けたフジへの不信感は相当だという。スポンサー離れが続けば、来年度以降の減収は数百億円規模になる可能性も指摘されている。
16日発売の週刊文春では、フジの女性アナウンサーが仮名で幹部社員A氏が関わった接待に参加させられたと告白。港社長は女性アナの接待常態化疑惑に「なかったと信じたい」と否定しきれず、SNS上では同局女性アナに対する臆測や誹謗中傷が過熱している。
竹俣紅アナウンサーは21日、SNSを更新。「ネット上で、写っている人物が私である、あるいは、私であるという噂があると拡散されている画像についてですが」とつづり「写っている人物は私ではありません」と完全否定した。
「竹俣アナだけでなく、ネット上には根拠のない臆測が書きこまれ放題になっている。アナウンス部内の空気は重い。週刊誌などの直撃を避けるために、出勤と退勤の際はアナウンサーはタクシー移動を義務付けられ、社員がタクシー乗車まで見届けることもある。息抜きで飲みに行くこともできるわけがなく、局内で談笑するのもはばかられるムードが漂っている」(フジ局員)
混乱はいつ収まるのか。