中居正広の女性トラブルで、社員の関与が報じられたフジテレビの親会社フジ・メディア・ホールディングス(フジHD)の株価はCM差し止めが相次ぐ窮地に陥りながらも21日、続伸した。
23日に臨時取締役会の開催が決定し、フジHDの対応がどうなるかで投資家の思惑は交錯している。
17日のフジ・港浩一社長の記者会見が批判を浴び、スポンサーのCM差し替えや差し止めドミノとなり、21日朝時点で50社を超えた。フジHDの株価は利益確定や経営懸念で売りが先行し、前日終値1785・5円から1700円まで反落したが、その後は買いが入り、終値は前日比37・5円高の1823円で、4営業日続伸となった。
「フジHDは在京キー局の中で最もPBR(株価純資産倍率)が低い割安株。株主軽視の経営が続いていたが、今回の問題で役員が責任を取って、いなくなり、体質が変わるとみられている。株主からの『早く変われ』の声が買いを支えている」(株式アナリスト)
この日はフジHDの株を3%超保有する文化放送の斎藤清人社長が定例会見で、自身を含む社外取締役7人が「喫緊の課題」として、臨時取締役会の開催を申し入れたことを明らかにした。フジHDは「臨時取締役会において公表すべきことが決議された場合は、速やかに公表いたします」と23日に臨時取締役会の開催を認めた。
取引終了後にはフジテレビの長寿番組「くいしん坊!万歳」の単独スポンサーを務めるキッコーマンが放送見合わせを申し入れたことが明らかになり、さらなる衝撃が走った。
「今はフジテレビへのCM見送りをしていない企業はコンプライアンス軽視と白い目で見られている状況。そこに単独スポンサーの放送見合わせのインパクトは大きく、ほかにも『MUSIC FAIR』の単独スポンサーの塩野義製薬などもドミノで続けば、フジテレビは本当に立ち行かなくなるのでは」(市場関係者)
結局、塩野義は21日に「MUSIC FAIR」についてテロップなどで表示される社名を削除することを検討していると明かした。放送見直しまでは要請していないという。
フジHDの株価はこの10年で最高値は2018年の2077円で、最安値は20年の908円がある。経営改善の見通しからの高値更新か、収益悪化懸念の失望売りになるのか。投機筋の動きも見え隠れしており、当面は23日の臨時取締役会がヤマ場で、マネーゲームは過熱しそうだ。