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【宮崎祐樹連載#48】介護、福祉に携わりながら野球を続けられる幸せ

東スポWEB 2025年1月22日 11時2分

【宮崎祐樹連載 オリのゴリBsを知り過ぎた男(48)】2019年に引退した僕は現在、アクサ生命に勤務する傍ら社会人軟式野球チーム「Baseball Team NINE」の監督を務めさせていただいております。

就任2年目の23年には初の全国大会出場。ベスト4という結果を残すことができました。チームの母体である介護、福祉に関わる3つの会社。そのスタッフでもある選手たちと真剣に全国優勝を目指しているという状況です。

グループホームや障がい福祉施設の入所者の方々と選手たちは密接な関係を築いていて、試合には400人ほどの大応援団が集結してくれます。勤務する支援スタッフは応援してくれる障がい者の方々に恥ずかしくないプレー、行動を示してくれていて、本当にいい関係を構築できているなと実感しています。

全国大会の際にはいつもの大応援団の前でプレーすることはできませんでした。それでも、大会が開催された岩手県のグループホームや介護施設を直接訪問して応援を要請することで、現地の応援団から熱い声援をいただくことができました。

そのノウハウは確実に翌年の大会で生きました。我々のチームは24年も2年連続で「高松宮賜盃68回全日本軟式野球大会」に出場。9月21日から3日間にわたって開催された大会では、会場となった島根県のグループホームや介護福祉施設の方々、大阪からの応援団に支えられ見事に優勝することができました。

社会人の軟式野球チームには所属している各支部においての格付けが存在します。規定ではA、B、Cの各クラスに分けられていて一般的にA、B、C級というふうに呼ばれています。昨年まで我々のチームはB級にランクされていましたが、西日本大会に優勝したことで25年からはA級に昇格することが決まりました。高松宮賜盃全日本軟式野球大会はB級が参加資格だったので、優勝して終われたということはまさに有終の美。いい形で締めくくることができました。

高校、大学、専門学校などいろんな環境で真剣に野球に取り組んでいる人が日本にはたくさん存在すると思います。その中には、プロを目指してもおかしくないようなレベルの選手も多く存在します。ただ、誰もがNPBのドラフト指名を目指していつまでも野球を続けるわけにはいきません。

現在は独立リーグのチームが九州や四国、関西、北陸、中越などに存在しNPBのドラフトに指名されるケースも増えてきました。ただ、年齢や社会的な立場を考えれば野球と収入のバランスなど難しい問題があることも事実です。

そういった面で考えると我々のNINE(ナイン)の仲間たちは介護、福祉に携わりながら野球を続けることができる点で幸せだなと感じます。選手たちは体が動いて野球を思い切りプレーできる現役中に介護、福祉に関する各種の資格を取得し、引退後はチーム運営母体でもある株式会社Nineなどが運営する各施設の施設長などになっていく道を選ぶことも可能です。

福祉以外であったとしても、同社が経営する飲食店や不動産業など他業種のプロとして社会人の道を歩んでいくこともできるわけです。普通は高校、大学を出て就職する時点で野球の全国大会を目指すことはなくなります。でも、我々のチームのような存在を少しでも知ってもらえれば、野球人たちの人生がより豊かになるのではないだろうかと思っている次第です。

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