モンスターが冬の時代を終わらせる!? ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一戦(24日、東京・有明アリーナ)の前日計量が23日、横浜市内で行われ、4団体統一王者の井上尚弥(31=大橋)と挑戦者のWBO同級11位・金芸俊(キム・イェジュン、32=韓国)はともに1回目に55・2キロでパス。大橋ジムの大橋秀行会長は、世界最高クラスのボクサー井上が金と戦うことが、低迷期にある韓国ボクシングの復活の起爆剤になることを期待した。
現役時代にV15王者の張正九ら韓国選手と何度も対戦し、かつてのボクシング大国の強さを肌で知る大橋会長。試合2週間前に当初の挑戦者サム・グッドマン(オーストラリア)の負傷により代役となった金について、「施設で育って、ハングリー精神も旺盛。やる気をすごく見せている。(自身の現役時代は)コリアンファイターに日本人はみんな勝てなかった。その片りんは少しある」と評した。
その韓国ボクシング界は2007年以降は世界王者不在の長期低迷期。1980年代の世界挑戦者替え玉事件、当時の新興団体IBFでの韓国人王者量産などでのイメージダウンが遠因とも言われ、日本ボクシングコミッション(JBC)の安河内剛執行理事は「スポンサー離れが大きい。韓国には日本のようなチケットの手売り文化がなく、スポンサー任せだった。そのスポンサーが離れると興行が成り立たない」と説明する。だが、明るい兆しも出てきており、「最近は若いプロモーターが出てきて、手売りをするようになってきた」という。
韓国でも興行を主催する大橋会長も「韓国もこれが起爆剤になって強くなっていけばいい」とこの一戦に期待する。井上は韓国でも人気があるとのことで、訪韓すると何人もの韓流スターから「井上に会いたい」と言われ、井上の大ファンというトップスターのチャン・ヒョクと食事をしたこともあるという。
その井上と韓国選手が拳を交えることで、大橋会長は「韓国の方も注目してくれると思う」と話す。また、苦労人の金が映画「ロッキー」のごとく代役でビックマッチのチャンスをつかんだストーリーがあることから、「いい試合になれば、彼は韓国版ロッキーになっていると思う」と好勝負を期待した。
海を越えて〝モンスター効果〟は届くか?