ここが正念場だ。大相撲初場所12日目(23日、東京・両国国技館)、幕内金峰山(27=木瀬)が大関豊昇龍(25=立浪)にはたき込まれ、2敗に後退した。取組後は「硬くなりすぎ。考えすぎです。今は苦しいけど切り替えていきたい」と必死に前を向いた。
この日は唯一の2敗だった幕内王鵬(大嶽)が敗れたため、単独首位をキープ。3敗の豊昇龍、王鵬ら4人に1差で追いかけられる展開となった。金峰山はカザフスタン出身で初の関取。身長195センチ、体重180キロと、幕内屈指の体形から繰り出される突き押しが持ち味だ。
兄弟子で部屋付きの井筒親方(39=元幕内明瀬山)は「金峰山はもともと実力があるし、今場所は手がよく伸びている。以前から組まれるとあまりよくなくて、手が相手にぶつかればという感じだった。やっと自分の突きが強いのに気づき始めたのでは」と好調の要因を分析した。
イスラム教を信仰している金峰山は、豚肉や酒を摂取できない。過去にはエジプト出身でイスラム教徒の元幕内大砂嵐がいたが、断食月(ラマダン)と本場所期間がかぶることもあり体調管理に苦労していた。
そうした部屋での配慮について、井筒親方は「金峰山の食事には豚肉を出さないし、部屋でも師匠(木瀬親方)がものすごく気を使っている。ご飯が食べられない期間はなくて、大砂嵐みたいな感じではない。豚肉がダメなだけで、それ以外は大丈夫だと思う」と明かした。
カザフスタン出身力士で初の賜杯獲得へ、勝負の残り3日間に挑む。