令和の〝モンスター景気〟がやってくる? ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王座戦が24日に東京・有明アリーナで行われ、統一王者の井上尚弥(31=大橋)がWBO同級11位・金芸俊(キム・イェジュン、32=韓国)を4ラウンド(R)2分25秒KOで下し、防衛に成功した。この試合をK―1創始者の正道会館・石井和義館長(71)が分析。圧巻の試合運びに驚嘆しつつ、今後の日本を元気にするような大活躍に太鼓判を押した。
今回も井上の強さばかりが目立つ試合となった。当初の挑戦者だったIBF&WBO同級1位サム・グッドマン(オーストラリア)の負傷により発生した、直前の相手変更というアクシデントもなんのその。最後は豪快な右ストレートで相手を仕留めた。
この試合を見た石井館長は「パーフェクトですよ。すごすぎる…」とため息交じりに絶賛する。その理由に挙げたのが、相手が仕掛けた〝ダーティーファイト〟すら相手にしなかったことだ。
「金選手も実力差があるのが分かっていたから、作戦を立てていましたよね。体勢を低くして頭から入ってきていました。普通はパンチから入るんですけどね。バッティングもいとわないというか…もしかしたら狙っていたんじゃないかな」と指摘。モンスター相手に正攻法で勝てないのなら…という〝グレー戦術〟だったわけだ。
ところが、この際どい戦術がモンスターの引き出しを開くことになる。石井館長は「これも井上選手はシミュレーションしていたんでしょう。序盤、軽くジャブを突いて距離を取ったじゃないですか。あれで相手の頭突きを封じたんです。頭を強く打てば自分の拳をケガしてしまうので」。ジャブを放ちながらボディーを攻めた裏にそうした駆け引きがあったのだ。
「とんでもないですよ。これで万策尽きた相手は4Rに正面から行かざるを得なくなった。そこを仕留めたんです。ちょっとすごすぎる。井上選手は、頭突きありのルールでも負けないっていうことです」
この試合で井上が見せた〝凄み〟に、石井館長は絶対王政を確信。「この試合を見るかぎり、まだまだ盤石でしょう。少なくとも2~3年は勝ち続けるんじゃないですか」と期待を寄せる。
その影響力はリング上にとどまらない。
井上は、この試合を前にサウジアラビア最大のエンターテインメントイベント「リヤド・シーズン」と30億円規模の複数年スポンサー契約を結んだ。石井館長はK-1時代に世界でビジネスを展開した経験を踏まえ「そんなレベルじゃないですよ。これから0が増えると思います。たくさんのオイルマネーを日本に引っ張ってきてくれることになると思います」。数百億円規模の札束がモンスターを中心に乱れ飛ぶと予言した。
そして「今〝日本人の強さ〟を見せているのは、井上選手と(米大リーグ・ドジャースの)大谷翔平選手の2人だと思います。しかも井上選手の体形は、日本人の平均そのものじゃないですか。だからこそ、日本人は彼から元気をもらえると思うんです」。莫大な経済効果のみならず、その存在が日本を勇気づけて、好景気を巻き起こす力があるというわけだ。
このまま〝日本の救世主〟となるのか。モンスター旋風は加速するばかりだ。