波紋を呼んだジェスチャーの〝真意〟とは――。ボクシングのスーパーバンタム級4団体王座統一戦(24日、東京・有明アリーナ)で、王者・井上尚弥(31=大橋)に挑戦したWBO同級11位・金芸俊(キム・イェジュン、32=韓国)は4ラウンド(R)KO負けを喫した。
試合は終始井上ペースで進んだ。しかし、4Rでロープ際に追い詰められた金が両グラブを動かし、井上の攻撃を煽るような動作を4度も繰り返した。その直後に〝モンスター〟の右ストレートを被弾してダウン。金のセコンドからタオルが投入され、KO負けとなった。
金の動きは挑発的として物議を醸し、議論が沸騰した。井上も「少しムッとしたし、絶対に倒してやろうと思った。そんなことしなきゃいいのにと思った」とコメント。KO劇はまさに〝怒りの一撃〟だったというわけだ。
試合後の会見で、金は波紋を呼んだ動きについて説明。「私の戦略としては、井上選手が近づいてきた後に、私がパンチを打ちたかったので。カウンター狙い? はい、合ってます」。あえて挑発のような動きをすることで、起死回生の一発を狙ったというわけだ。
しかし、モンスターには通じず、あえなく撃沈。「私が研究や練習した時よりも、実際の井上選手の方が(動きが)速くて強かった。当然、私は試合に勝つためにここに来たので、今は屈辱的な気持ちです」と完敗を認めた。
金の奇策にも全く動じず、井上が改めてモンスターぶりを証明した。