高速道路建設のために土地を買い取るという中国政府の申し出を断った中国人男性が、今ではその高速道路の真ん中で暮らすはめとなり、「最強の釘子戸(釘の家)」と話題になっている。香港メディア「香港01」が先日、報じた。
中国では、政府の土地買い取りや立ち退きに応じない居住者がいる家を、抜けない釘にたとえ「釘の家」と呼ぶ。
高速道路の真ん中に、ポツンと一軒家があり、上空から見ると目のように見える。中国のSNS微博などで話題となり、この家は「金渓の目」「最強の釘の家」と称されている。
数年前、江西省金渓県に住む黄平さん(仮名)の自宅を中国当局が訪れ、高速道路建設のため、160万元(約3433万円)で2階建ての家を買い取ると申し出た。黄さんはさらに良い条件を引き出せるよう、わざと断った。政府は要求に屈する代わりに、家の周囲に道路を建て始めた。もうすぐ開通するという。
黄さんは「もし時間を戻せたら、彼らが提示した買い取り条件に同意しただろう。今は大きな賭けに負けたような気分で、少し後悔している」とこぼす。
道路の真ん中に孤立した自宅から出るには、政府の〝温情〟で作られた出入り用のコンクリートパイプを通らなければならない。黄さんは、日中を村の中心部で過ごし、工事が終わる夕方に帰宅する。黄さんは、道路が開通すると、状況がさらに悪化するのではないかと心配している。家の屋根は道路と同じ高さにあり、車の騒音がとんでもないことになりそうだからだ。