フジテレビの10時間超に及んだやり直し会見が28日未明に終了し、フジテレビを傘下に持つフジ・メディア・ホールディングス(フジ・メディアHD)の株価は同日、前日比60円高の2035円で、年初来高値2059円に迫る勢いを見せた。
会見ではフジテレビの嘉納修治会長と港浩一社長の退任、清水賢治専務の社長就任が発表され、遠藤龍之介副会長は「新しいフジテレビとなるための暫定的なもの。ある種の役割を終えたら我々も責任をとっていく」と話し、フジ・メディアHDの金光修社長も第三者委員会の報告後に役員体制の見直しに言及した。
フジテレビを巡っては、スポンサー75社以上がCM差し止めや差し替えを行い、ACジャパンの広告が繰り返し流れる異常事態に陥っている。それでもフジ・メディアHDの利益は約6割が不動産関連事業で安定している面やPBR(株価純資産倍率)が1倍割れで割安銘柄である点が注目され、株価は1月9日の1599円から右肩上がり。やり直し会見で大きなマイナス材料が出なかったことで、引き続き売りよりも買いが入っており、28日は一時2042円まで高騰。昨年4月に付けた年初来高値2059円の更新が目前となっている。
今後は3月末が焦点になるだろう。株主配当や6月予定の株主総会に参加できる権利確定日は3月27日。フジテレビの第三者委員会の調査報告書は3月末をメドに提出される予定となっている。
「権利日までは高値を取ったら、利益確定売りが出ての一進一退が続くのではないか。権利落ち日以降は一定程度、売られる懸念もある。調査報告書を受けての経営陣の責任問題も出てくる。フジ・メディアHDはとにかく経営陣が下手くそで、株主軽視が著しい。今は経営陣の一掃が期待されている局面」(株式アナリスト)
27日付でフジ・メディアHDの全社外取締役の7人がガバナンスの立て直しを求めて、フジ・メディアHDとフジテレビに対し、取締役会の随時開催や経営刷新小委員会の設置などを提言したことも発表された。第三者委員会調査報告での対応や日枝久取締役相談役の去就次第では、株主総会は大荒れとなる可能性もありそうだ。