中国の旧正月「春節」が29日にスタートした。春節休暇は2月4日までとなり、春節に合わせ交通量が非常に多くなる特別輸送体制「春運」(1月14日~2月22日)で、延べ90億人が帰省や旅行などで移動するとみられる。その中で海外旅行先の人気ナンバーワンは日本となっている。
複数の中国メディアが先日、「今年の春節は、北京―ローマなど欧州への航空券よりも、北京―東京など日本への航空券の方が高くなっている」と報じた。
その理由として、円安が挙げられている。また、今月上旬から現在まで、タイに行った中国若手俳優がミャンマーに誘拐された事件が連日大きく報じられたことで、これまで人気だったタイなど東南アジアをキャンセルし、治安のいい日本を選んだという背景もあるようだ。
日本在住の中国人ビジネスマンは「春節休暇は航空券もホテル代も高く、お金に余裕のある層が日本に来ます。かつての都会中心の観光旅行および〝爆買い〟ブームは終わり、地方都市に滞在して現地のグルメや文化を楽しむという旅行のやり方になっています」と語る。
また、最近の特徴は、大学のキャンパス見学となっている。
「中国の北京大学や清華大学など〝重点大学〟の倍率は数千倍で、あまりに厳しすぎるので、それよりは入学が楽なのに、中国政府が学歴を認め、中国でも公務員になりやすい日本の難関大学を受けるため、家族で見学するんです。旅行先にある旧帝大、都内の超難関私立です。私はずっと日本に住んで、子供を育てましたが、中国で競争心が激しく性格がきつい中国人相手に子供を育てるより、日本でのんびりと育てる方がいいと思います。『うちの子は気持ちが優しいから』として、日本の大学に進学させる中国人が増えているんです」(同)
グルメから将来の進学先まで、日本旅行の需要が大きくなり、中国人旅行者が増加しているが、心配な点もある。
「ここのところ中国で感染が増えている呼吸器感染症『ヒトメタニューモウイルス(hMPV)』が日本で広がる可能性があります。日本で2020年に新型コロナ感染者が出てきて、増えていったのも、春節とリンクしていました。人の移動でhMPV感染拡大が心配されます」と同中国人は話している。
春節の間、多くの中国人が日本を訪れる。近年はオーバーツーリズムも問題になっており、何もトラブルが起きなければいいが…。